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<災害時のお金と手続き その③> [被災ローン減免制度]を知っておこう

「家は全壊なのに、住宅ローンだけが残って…どうしよう!?」そんな時でも一定の要件を満たせば、残ったローンが免除になる制度があるんです。住宅ローン返済中の人、必見です!

災害でローンが返せなくなったら、[被災ローン減免制度]を思い出そう


「まだ日本人の99%が知らないのに、とても価値のある制度。それが[被災ローン減免制度]です」


と弁護士の永野さん。

[被災ローン減免制度]とは、大災害の影響でローン返済が困難な人が、一定の要件を満たした場合、いま抱えているローンの全部/または一部が免除される制度です。

「東日本大震災時の苦い教訓をもとに、ようやくスタートした新しい制度です。これを知っていれば、災害による自己破産も避けられるかもしれません」

ローンの種類は住宅ローンに限らず、自動車ローンや個人事業者ローンも対象です。

被災者がもともと抱えている住宅ローンと、再建する住宅の新たなローンの両方で苦しむ「二重ローン問題」。

【東日本大震災】では津波で家を流され、自宅を再建できずローンだけが残ったり、再建しても二重ローンに耐えきれず自己破産に追い込まれたり、といった事例が多くありました。

当時も[被災ローン減免制度]の原型になる制度はありましたが、被災者にとって使いづらい面が多く、利用が広がりませんでした。

そこで見直しが行われ、2015年9月から新たな制度としてスタート。その後に発生した【熊本地震】でも活用されました。

[被災ローン減免制度]、4つのメリット

※メリット【3】に関しては、原則として保証人にも請求がされない

「ローン借入先の金融機関の同意が得られれば、被災者は蓄え(資産)のうち、最大500万円と公的な支援金などを手元に残したうえで、残ったローンを免除してもらえる仕組みです。」


―― 残せる公的な支援金とは、具体的にどんなお金ですか?


「たとえば

・[り災証明書]の被害区分に応じてもらえる 「生活再建支援金(最大300万円)」
・家族が亡くなった場合の 「災害弔慰金(最大500万円)」
・広く募金等で集められ被災者に配られる 「義援金」
(※ただし、差押禁止立法が必要)
・地震保険で支払われた 「家財部分の保険金」
・震災後、生活に必要で購入した 「クルマ(200万円まで)」

がすべて、500万円にプラスして手元に残せます」


―― 意外と残せるんですね!ローンはできるだけ返済、と聞いたので今ある資産はゼロになってしまうのかと思いました。それならありがたいです。


「他にこの制度のいい点は、自己破産とは違い、ローンを払えなかった情報が金融機関側に残りません(=いわゆる“ブラックリスト”に載らない)。また原則として債務の保証人に対する請求もないので、保証人へ迷惑がかかることも通常ありません。

ですからその後新しい借り入れも、新しくクレジットカードを作ることも可能で、生活再建の後押しになります」


―― 被災者とはいえ、ローンが返せなければ自己破産につながる場合もあるんですね。でもこの制度を使えば、そうした事態になる前に手が打てる、ということですか。


「その通りです。制度を利用するには、各地で開催される法律相談会や地元弁護士会などに相談し、手続きの支援をする弁護士等を紹介してもらうことからはじまります」


―― 相談窓口は、市町ではないのですね?


「ええ、個人の私的な債務整理の話になりますから。弁済計画案の作成や簡易裁判所での手続き等があり、弁護士のような専門家のサポートがどうしても必要になります。

ですが専門家の費用は国が全額みてくれるので、ご本人の負担はありません」


―― えっ、そうなんですね!実は費用のことが気になっていたんです(笑)。無料と知っていれば、気兼ねなく相談できそうです。

【東日本大震災】では、[被災ローン減免制度]を知らず苦境に立たされた人が続出


「この制度は誰でも利用できるわけではなく、一定の要件を満たしていることが必要です。

※ただし、目安なので上記以外でも交渉可能

ですが【東日本大震災】時は、この減免制度の存在を知らず、「当面の返済は利息だけでいいですよ」といった返済猶予の内容で、金融機関と契約を結び直してしまう人が続出しました。

これを「リスケジュール」といいますが、支払期間を延長しただけの措置なので、月々の支払額は減りますがローンは残ったままです。いったん「リスケジュール」をしてしまうと、後から[被災ローン減免制度]を適用するのにハードルが生じます。

また金融機関の方でも、そもそも制度があることを知らない、知っていても被災者に伝えていない、利用の申請があってもなかなか応じてくれない、といった場合もあったようです。


こうした面は地元弁護士会が金融機関を回って説明するなどの働きかけで、次第に改善されています。ですがもしも多くの被災者が制度を利用できていたなら、ローン返済を免除にできたり、公的支援金をローン返済に充てず手元に残せて、生活再建がより進んだケースも少なくなかったはずです」


―― 人によっては数千万円ものお金が関わるのですから、この制度を知っていたかどうかは、本当に大きいですね。


「大金を借りた金融機関に残ったローンを免除してほしい、と申し出るのはハードルが高いでしょう。被災が理由とはいえ借金がなくなるのですから、実際の手続きも簡単ではありません。

ですがそこは弁護士がしっかりサポートします。
もしも家が全壊してローンだけが残ったとしても、希望はある、と覚えていてほしいです」

実例で知る!制度利用でローン負担は、こうなる


【東日本大震災】時の2つの実例を参考に、「こんな風になるんだ」というイメージを掴んでください。


=== 【実例 1】 同じ土地で、住み続けたい場合 ===

[被害と財産の状況]
◆被害 : 建物は全壊、土地は問題なし
◆財産 : 預金800万円(支援金含む)
土地350万円(鑑定評価)
残りの住宅ローン2000万円
  ↓

[制度利用で]
◆預金800万円は、残してOK
◆土地評価相当額の350万円を弁済にあてれば、
→残りの住宅ローン(1650万円)はすべて免除
→土地は売却せずに、保有し続けられる
→350万円は分割返済(頭金110万円+月5万円・48回)でOK

⇒[結果として]
・350万円分の弁済で残りのローンはなくなり、預金800万円と土地が手元に残る
・残った土地に新たに家を建てられる(住宅ローンを組める)可能性あり!



=== 【実例 2】 別の土地へ、引っ越す場合 ======

[被害と財産の状況]
◆被害 : 津波で建物が流出(全壊)、土地は問題なし
◆財産 : 預金600万円(支援金含む)
土地1000万円(鑑定評価)
残りの住宅ローン1500万円
  ↓

[制度利用で]
◆預金600万円は、残してOK
◆土地評価相当額の1000万円の弁済が必要
ただし、この人の場合
→土地が集団移転の対象地になったため
→「自治体が土地を買い上げ、その代金をローン契約先(金融機関等)に払う」ことに
→そのため、土地の売却も、土地評価相当額の弁済も不要

⇒[結果として]
・弁済ナシでローンはすべてなくなり、預金600万円が手元に残る
・新たな土地で、負債を抱えず、再出発できる!

もっと詳しく知りたいときは ~関連リンク~

◇ 政府広報オンライン  「 住宅ローンなど借入れの返済が困難な震災被災者の方へ  個人版私的整理ガイドラインをご存じですか 」

◇ 法テラス 「被災ローン減免制度(二重ローン)」

◇ 熊本県弁護士会 「熊本地震相談 【被災ローン減免制度】 」

◇ (社)「個人版私的整理ガイドライン」運営委員会

コールセンター(平日9:00~17:00)

0120-380-883

<災害時のお金と手続き その③> [被災ローン減免制度]を知っておこう

●[被災ローン減免制度]は一定の要件を満たした場合、ローンの全部/または一部が免除される新しい制度

●制度を利用すれば、500万円&支援金が手元に残せ、ブラックリストに載らず、弁護士等に払う費用も不要。生活の再建が進む

●利用するには災害前にローン滞納がない、年収・ローン金額等、条件がある

●【東日本大震災】時は制度を知らず、苦境に追い込まれる人が続出。[被災ローン減免制度]があることを忘れず、もしものときは弁護士会等へ相談を

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