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<地震に強い家Q&A その2> 「建物のプラン」で耐震性が変わる

正方形の家と凹凸で複雑なカタチの家。地震に強いのはシンプルな箱型の家です。理想の「プラン(間取り)」と耐震性をどう両立させるのか、ポイントを絞ってお伝えします。

【 contents 】

■Question 1   2階建てと3階建て。どっちが揺れる?

■Question 2   家は「壁の量」が多いほど、頑丈になる?

■Question 3   「吹き抜け」は地震に弱い?

■Question 4   「大きな窓のある開放感」と耐震性は両立できる?

■Question 5   「屋根の重さ」は影響する?

【 Question 1 】   2階建てと3階建て。どっちが揺れる?

A. 3階建ての方が、揺れは大きくなります。

高層マンションの上層階で揺れが大きくなることは、よく知られているでしょう。

木造住宅でも階数により揺れの大きさは異なり、1階の揺れの大きさに比べ

●2階建ての2階 → 1.4倍
●3階建ての3階 → 1.6倍  
(1階の揺れを1.0とした場合)

3階建ては(2階建てに比べ)1階部分を相当強固に建築するが、それでもこれだけ揺れは増幅される。ただし地震で古い木造住宅が倒壊するとき、押し潰されてしまうのは1階。そのため揺れが大きくなったとしても、寝室は2階以上にあった方が命が助かる率は高い

に感じるともいわれています。

これは地震では重量が増すほど、重心が高くなる(3階建ては2階・3階の2層分が頭に乗っている)ほど、揺れが大きくなるためです。

そのため3階建てを建てる時は、建物がどこまで揺れに耐えられるか計算する「構造計算」が義務付けられています。建築確認申請時には数十ページにもわたる構造計算書を提出し、適合性の判定を受けなければなりません。

ですが平屋や2階建てでは構造計算書の提出は省略可能。より簡易な壁量計算で耐震性を確かめているのが通例です。

このように2階建てと3階建ては、法律でもしっかりと線引きがされているのです。


【A1.のまとめ】2階建てと3階建て。どっちが揺れる?

・2階建ての2階は1.4倍、3階建ての3階は1.6倍揺れる、といわれている

【 Question 2 】  家は「壁の量」が多いほど、頑丈になる?

A. 「壁の量」と「壁配置のバランス」、両方が大事です。

木造住宅で一般的な「軸組工法」では、木の柱と梁(はり)の骨組みで家を支えます。このとき柱と梁をいくら太く頑丈にしても、上方向からの力にしか対抗できません。

地震の揺れのような横方向からの力には、「耐力壁※」で対抗しなければなりません。
※構造の強度を保つために不可欠な壁

ですから耐震性を高めたいのであれば、耐力壁を増やすことが有効です。

耐力壁を増やせば建物は倒れにくくなる。耐力壁は部屋の間仕切り壁とは区別され、構造の強度を補強する壁。筋交いや構造用合板で壁そのものにも強度を持たせる

実際に耐震等級2や3の家を建てたい場合、耐力壁の量は耐震等級1の家に比べて
●耐震等級2 → 1.55倍
●耐震等級3 → 1.86倍  
(軽い屋根[カラーベスト等]の木造2階建て、1階部分の耐力壁の量の場合)

必要となります。

また耐力壁の量だけでなく、「バランスよく配置」することも大切です。

耐力壁の配置が偏ると、その反動で耐力壁が少ない方に地震のエネルギーが集中してしまい、建物がねじれて倒壊しやすくなります。

とくに家の外周とコーナー部分(四隅)は耐力壁が必要な場所。専門的な計算は住宅会社が確認してくれますが、平面図をみた印象で「これはバランスがいいの?」と私たち自ら疑問に思い、質問してみてください。


耐力壁が多い=地震に強い、に越したことはありません。ですが部屋中壁だらけで小窓しかなく暗い、不便な間取りで住みづらい、ではせっかくのマイホームも心から楽しめないもの。

家の開放感やデザインと、災害への備え。そのバランスを十分に考えて間取り作成を進めてください。


【A2.のまとめ】家は「壁の量」が多いほど、頑丈になる?

・「耐力壁」の量と配置バランス、両方とも重要 ・壁配置バランスが悪ければ、壁が増えてもかえって逆効果な場合も ・間取り作成時は、日常の住み心地と耐震性の兼ね合いをよく考えて

【 Question 3 】  「吹き抜け」があると地震に弱い?

A. 1辺4m以上の吹き抜けは要チェック

紙の箱を思い浮かべたとき、外周りだけよりフタ(底)がしっかりある箱の方が変形しにくいことがわかると思います。

この底にあたるのが、住宅の天井(床)です。本来天井(床)になるべき場所を何もない空間にしたのが、吹き抜けです。

1辺4m以上あるような面積が大きい吹き抜けは床面積が減ることになり、揺れに耐える力が弱くなる、とされています。

図の吹き抜けはひとつの壁に沿っていて3方に床があるが、面積が広くなり、吹き抜けがまたがる壁が増えると耐震性は弱まる。 図:『誰でもできる わが家の耐震診断』 監修/国土交通省住宅局

耐震等級2や3の家では、チェック項目に「床面の強さ」(=吹き抜けの有無等)を加味して判断しています。

吹き抜けの大きさや設置位置、補強対策(梁や筋交いの追加)など、さまざまな検討を加えて設計されていれば、吹き抜けがあっても問題ありません。


ただし耐震等級1の家では「床面の強さ」は考慮されず、壁量と壁配置バランス、接合部の強さしか計算しません。

もしも耐震等級1の全く同条件の家で、吹き抜けのある家/ない家があったら、どちらが地震に弱いのか。専門家でなくとも感覚的に「吹き抜けのある家の方が、地震に弱い」と分かるはずです。

ですから耐震等級1の家で吹き抜けを希望するときは、設計に十分配慮が必要です。


【A3.のまとめ】「吹き抜け」があると地震に弱い?

・1辺4m以上ある吹き抜けは、揺れに弱くなる ・吹き抜けに配慮した設計をすれば問題ない。耐震等級1の家はとくに注意

【 Question 4 】   「大きな窓のある開放感」と耐震性は両立できる?

A. 構法や設計の工夫で、開放感と耐震性は両立できます。

大きな窓を設けて、明るい開放感のある家にしたいとき。その場所に柱や壁があったら困りますよね。

ですがここで無理な設計をして壁配置バランスが悪くなったり、全体の壁量が不足してしまうと、開放感と耐震性の両立は難しくなります。


このとき、まず私たちが知っておきたいのは


●構法に即した壁量は決まっていて、減らすことはできない

●家のコーナー部分を窓にすると、耐震性は下がる

●横方向に大きな窓を連続させるのは、限界がある


といった窓プランのポイントです。


また住宅会社とよく話し合うことで


●設計の工夫で、本来家の外周にある耐力壁を、室内間仕切り壁のある位置へ、変更する

●木造でも耐力壁のいらない新構法や、鉄骨造なども検討する


といった方法も考えられます。

現実には耐力壁のいらない強い構法を選ぶと、予算は増えます。住宅会社によっては希望の構法に対応できない場合もあります。

ですが大きな窓は室内の広がりを生み出し、明るい自然光をもたらすなど、心地よい家づくりには欠かせないもの。耐震性のために諦める必要はありません。

耐震性と大きな窓の両立が実現可能かどうかは、選ぶ住宅会社によって大きく変わります。

私たちは具体的にどれぐらいの大きさの窓(壁一面、横に3枚連続、上下階に連続…)がほしいのかイメージを固めましょう。そのうえで複数の住宅会社とよく話し合い、比較検討してから、信頼できる住宅会社に決めるようにしましょう。


【A4.のまとめ】 「大きな窓のある開放感」と耐震性は両立できる?

・設計の工夫や構法の選択で、開放感と耐震性は両立できる ・実現可能かは、住宅会社によって分かれる。依頼先決定前によく比較検討を

【 Question 5 】   「屋根の重さ」は影響する?

A. “軽い屋根”の方が、地震に強くなります。

瓦(かわら)のような“重い屋根”は、建物の重心を高く・総重量を重くするため、地震の揺れが大きくなります。

木造住宅で必要な壁量も、軽い屋根(化粧スレートや金属系)/重い屋根(瓦) の場合に分かれます。

軽い屋根の家に比べ

●重い屋根の1階 → 1.13倍の壁量
●重い屋根の2階 → 1.4倍の壁量
(屋根の重さと必要な耐力壁の量、木造2階建ての場合)

となり、やはり屋根が重くなれば壁量を増やし、構造を強くする必要があります。


このように耐震上は軽い屋根の方が有利ですが、台風来襲時の強風には瓦のような重い屋根の方が対抗できます。また瓦には断熱・防火・対候(光や雨に対する抵抗)等のメリットや雨音が静かといった利点もあります。

大事なのは屋根材の特徴を理解した上で、構造の強度に応じた屋根を選ぶこと。築年数の経った住宅は、軽い屋根への耐震リフォームも検討してみてください。


【A5.のまとめ】 「屋根の重さ」は影響する?

・重い屋根は建物の重心を高く・総重量を重くするため、地震の揺れが大きくなる ・屋根材は耐震性以外のメリットも良く考えて選択を

<地震に強い家Q&A その②> 「建物のプラン」で耐震性が変わる

●2階建ての2階は1.4倍、3階建ての3階は1.6倍揺れる

●「耐力壁」の量と配置バランス、両方とも重要

●1辺4m以上の「吹き抜け」は揺れに弱くなる。設計に配慮が必要

●「大きな窓」の開放感と耐震性は、設計の工夫や構法の選択で両立できる

●「重い屋根」は揺れが大きくなる。構造に応じた屋根材を選びたい

【監修】 内閣府火山防災エキスパート/静岡大学 防災総合センター_センター長・教授 岩田孝仁

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