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太陽と海からの熱を利用した「石垣いちご」。赤い宝石を観光農園で味わう

いちごは、静岡市の主要な農産物の一つ。駿河湾に面した静岡市駿河区の国道150号線沿い、「久能いちご海岸通り」と呼ばれる地域では、数多くのいちご観光農園が軒を連ねています。この地域のいちごの特徴は、石垣栽培で育てていることで、通称「石垣いちご」と呼ばれています。例年12月頃〜5月頃まではいちご狩りを楽しむことができ、多くの観光客が甘い果実の宝石・いちごを求め、この地域を訪れます。

温暖な気候と石垣が甘いいちごを育む


平成30年12月中旬、「石垣いちご」の生産者「石垣園」の石垣輝久さんを訪ねました。
石垣さんは、この時期、出荷用のいちごの収穫に追われています。

「石垣いちご」の発祥は、明治時代。
川島翁が、久能山東照宮の宮司からいちごの苗をもらい、それを石垣の間に植えたことが始まりと言われています。
当時はまだビニールハウスもなかった頃。
海沿いの温暖な気候と石の保温効果により、冬場にも関わらずいちごが実をつけたそうです。

コンクリート板を作るための木枠が農園には残されています


この効果を応用し、今も「久能いちご海岸通り」では、「石垣いちご」を生産しています。
昔は玉石を積み上げていたそうですが、大正時代に入ると、コンクリート板を考案。
駿河湾の砂浜で木枠にコンクリートを流し込み、それぞれの農家ごとにコンクリート板を作ったそうです。
コンクリート板は、長持ちするため、「石垣園」で使用しているものも40〜50年ほど前に作られたものだといいます。
農園には、今もその木枠が残されています。
「石垣栽培は、全国でも珍しい技術。石積みには培われてきた技が必要で、この土地だからできる伝統的な栽培方法。後世にも残していく必要がある大切な栽培方法です」と石垣さんは語ります。

「石垣いちご」がおいしく育つワケ


「石垣園」では、9月中旬〜10月上旬頃に苗を定植します。
これがなかなかたいへんな作業。親戚総出で作業にあたるといいます。
コンクリートの間に苗を植える穴を開け、一つひとつ植えていきます。
1週間に1枚ずつ新しい葉が出てくるので、古い葉を取り除く必要があります。
花芽が出てくると、バランスを見ながら剪定。
またこの間、人と植物に優しい農薬を使い、害虫を防止したり、雑草をとったりします。
いちごが実るまでの間は、毎日手入れ作業に追われるといいます。


12月頃に入ると、いちごが赤く色づき始めるので、収穫作業を開始。赤く実ったいちごが市場へと出荷されていきます。
12月下旬からは観光農園がスタート。5月まで続く開園期間ももちろん、苗の手入れを怠りません。
いちご狩りを楽しみに、県内外から多くのお客さまが訪れます。
5月の連休明け頃に観光農園が終わると、土を手入れし、翌年の苗の準備が始まります。
一年を通して、大切に手をかけて栽培しているからこそ、おいしいいちごが実るというわけです。


いちごは、クリスマスシーズンには需要が高まるので、全国的には12月下旬頃から出荷が始まります。
しかし、「石垣いちご」はそれより早くから市場に出回ります。
それは、静岡が温暖な土地であることはもちろんですが、石垣を囲ったビニールハウスが久能山の南側のなだらかな傾斜地に、駿河湾に面して並んでいることが一番大きな要因。
海沿いのため拓(ひら)けており、太陽が東から出て西に沈むまで、遮るものがあまりないため、たっぷりと太陽の光を浴びることができるのです。
さらに、海から反射した光が加わり、それらから伝わった熱が石垣に保温され、その熱が夜も暖房の役割を果たしてくれるといいます。
また、石垣は、果実が土に当たるのを防ぐ効果も。
土に当たるとイチゴが傷みやすくなるので、まさに一石二鳥な栽培方法になっています。

いちご狩りが一番おすすめなのは午前中


静岡市内で生産しているいちごは、“静岡いちご”の代名詞として名高い「章姫(あきひめ)」をはじめ、甘みと酸味のバランスがよい「紅(べに)ほっぺ」、2014年にデビューしたばかりの静岡のみで生産される希少品種「きらぴ香(か)」といった3品種が中心。
「石垣いちご」では、その多くが「章姫」だそうです。
「章姫」は、長めの形で粒が大きく、酸味は少なめ、糖度が高いことが特徴です。
柔らかいため、あまり長距離輸送には向かない品種。
「章姫」を一番おいしくいただくには、やはりいちご狩りがおすすめです。


いちご狩りは、一番おいしく味わえる1〜2月頃の午前中がベスト。
ビニールハウスのため、午後になると気温が上がるので、いちごも少し温かくなってしまうそう。
午前、午後でも味には変わりはありませんが、程好い温度のいちごを味わいたいなら午前中がよいとのこと。

ちなみに、おいしいいちごの見分け方は、ヘタの近くまで色づいているものを選ぶこと。
ヘタが反り返っていたら、完熟の証拠です。
普段、市場に流通しているものは、まだ白い部分が残るうちに収穫してしまいます。
しかし、観光農園では、完熟のいちごを味わえるのが一番の魅力。
完熟いちごは、甘みが本当に強いので、ぜひ一度賞味していただきたいおいしさです。
ミルクをつけなくても、甘いんですよ。

いちご狩りの後は、周辺スポットも観光しよう


いちご狩りの後は、久能山東照宮にもぜひ立ち寄りましょう。
「久能いちご海岸通り」沿いの久能山の山下(やました)から歩いて上がる方法と、車で日本平へ上がり、ロープウェイで下る方法があります。

久能山の山下からなら、表参道周辺にいちごジュースなどのいちごの加工品を販売するお店もあります。
また、日本平山頂に平成30年11月にオープンした、展望施設「日本平夢テラス」にもぜひ立ち寄りたいですね。
富士山や駿河湾など、パノラマビューが楽しめる、注目のスポットです。


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