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「近くのひなん所」って、どんなとこ?

もしもの時は「ひなん所に頼れば大丈夫」と思っていませんか?ひなん所の実際と、 最寄りひなん所のリアルなデータを知って、我が家の備えを見直すきっかけにしませんか。

そもそも「ひなん所」って、どんな場所?

ひなん所とは、災害で自宅が被災するなどで

「居住場所を確保できない人を、一時的に受け入れ保護する場所」

とされています。
一方自宅が無事でも、ライフラインが被災し、自宅で被災生活を送る人にとっても

「ライフラインが回復するまでの生活支援場所であり、情報や物資の提供拠点」

となります。

つまり「自宅で被災生活をする人」「ひなん所生活する人」のどちらも、被災者には同じように必要な情報、水・食料・日用品等の提供が受けられるのです。

一定期間生活することとなるひなん所は、あらかじめ市町によって安全で公的な建物が指定され、指定されることによって非常用食料や資機材が整備されます。

指定されるのは主に小・中学校や公民館等。市役所や町役場、警察や消防署等の施設は職員が復旧活動に使用するため、ひなん所にはなりません。


静岡市には全体で 239ヵ所、約12万人分 のひなん所があります。


【静岡市のひなん所数 と 収容可能人数】
・葵 区_105施設/4万6913人  
・駿河区_57施設/2万7795人  
・清水区_77施設/4万5301人  
 

ひなん所の具体的な場所は、下記の方法で確認できます。

◇本サイト『ジブン防災 静岡』 → 『静岡避難所マップ』 から現在位置や住所から確認

https://machipo.jp/bousai/map

◇静岡市『静岡市防災情報マップ』 → 『防災マップ』 から住所や目標施設から確認

http://www2.wagamachi-guide.com/shizuoka-hazard/index.asp?dtp=4

◇静岡市HPから 「避難所一覧表」を確認

葵 区

http://www.city.shizuoka.jp/000164582.pdf

駿河区

http://www.city.shizuoka.jp/000164583.pdf

清水区

http://www.city.shizuoka.jp/000164583.pdf

「近くのひなん所」がはっきりしない人は、ぜひいちど確認しておいてください。

「ひなん所生活は過酷なモノ」と心得ておこう

東日本大震災では、災害関連死(※)の原因の約5割が「ひなん所生活での精神的・肉体的疲労」との報告があるほど、ひなん所生活は過酷なものです。

※「災害関連死」とは_災害からは生き残ったものの、ひなん生活の疲労・環境悪化・医療の滞り等で発病したり、持病の悪化で死亡すること。「エコノミークラス症候群」もそのひとつ。

ひなん所は立場も考え方も異なる、多数の他人との共同生活。プライバシーが保てず、長期間我慢を重ねることで大きなストレスを抱えることになる


【知っておきたい、 ひなん所の困難】

■ひとりのスペースがとても狭い
・静岡市ではひなん所の1人あたりの面積は3㎡(約1畳半)。災害初期はそれ以上にひなん者が集中し、横になろうとしても手足も伸ばせない状況に

・自宅が無事でも余震による倒壊を恐れてひなんする人は、自宅が倒壊した人に遠慮しがち。そのためひなん所に入ることをあきらめたり、車中泊を選ぶ場合も


■トイレの不足
・トイレは断水で排水できず、汚物があふれ、ほぼ使えなくなる。臭いや衛生環境の悪化が一気に生活の質を低下させる

・仮設トイレは屋外設置で男女共用、夜は暗く防犯面で不安に。夜間トイレに行く回数を減らそうと水分を控えると「エコノミークラス症候群」の一因に

熊本地震では排水できなくなった既存トイレにビニール袋をかぶせ、処理剤等で固めて廃棄する「簡易トイレ」の需要が増えたそう。簡易トイレは段ボールやバケツでも代用できる

■暑い、寒いが調整できない
・真冬の夜中でも暖房は制限され、真夏は大勢がすし詰めでも冷房はナシ。体調が悪化しやすく、疲労で免疫力も落ち、夏は熱中症の危険も


■感染症の流行
・大勢の人が集まるが、換気しづらく空気が乾燥。水不足でうがい・手洗いも十分にできず、不衛生になりやすい。胃腸炎やインフルエンザ等の感染症が流行しやすい


■水・食料が不足
・災害初期は食事の数もボリュームも少なく、おにぎりひとつ受け取るにも配給開始の数時間前から列に並ぶことに。仕事のある人は出かけなくてはならず、列に並ぶこともできない


■個人の事情は言い出しづらく、ストレスが高まる
◇被災程度の違い : 家族全員無事だった人と安否不明や犠牲者がいる人、自宅が全壊した人と無事だった人
◇個人の事情の違い : 夜明るいor暗いと眠れない人、持病持ちや体調不良の人とそうでない人、食物アレルギーのある人とない人、ペット連れの人とペットが苦手な人等


→被災エリアが広大なのか、局所的なのかによっても水・食料事情や復興のスピードは大きく変わる。また被災者はひなん所でただ食事や物資をもらうのではなく、自分たちで生活のルールを決め、食事の準備や配膳・物資の分配・清掃&防犯活動・情報収集等、互いに役割分担し、協力し合ってひなん所を運営していくことになる

ひなん所には“定員”がある

ひなん所に困難が多いといっても「最後はひなん所に行けば、なんとかなるだろう」と考える人も多いでしょう。

ですが災害の後、本当にひなん所に行く必要があるのは、下記のような人です。



【ひなん所に行くのは、どんな人?】
■自宅が津波・ガケ崩れなどの危険がある
■自宅が被災し、自宅では生活できない
■自宅の耐震性に不安があり、余震で倒壊の恐れがある


自宅が無事で、耐震性があり、倒壊や津波・ガケ崩れ等の恐れもなければ、わざわざひなん所で生活する必要はないのです。

静岡市の人口は、およそ70万2000人(平成28年)。そのうち上記のような「想定ひなん者数」は、災害1日後でおよそ30万人(南海トラフ巨大地震の場合)とされています。

一方、指定ひなん所の収容可能人数は、約12万人です。

つまり指定ひなん所に入れる人は、数字上は静岡市民全体の2割未満、ひなんに該当する人でも約4割しかいないのです。


【静岡市でひなん所に入れる人の数は?】
■静岡市民全体(70万2000人)の → 2割未満
■想定ひなん者数(30万人)の → 約4割


ひなん所の数を増やせばいいのでは、との考えもあるかもしれませんが、実際ひなん所に指定できる建物・スペース等は既にほぼ指定済みです。

これ以上数を増やそうとすると、建物本来の用途との兼ね合い、税金の使い道として適正か否か、そもそもひなん所の増加が災害対策として有効なのか(→自宅耐震化をすすめて、ひなん所に行かなくて済む人の数を増やす方が有効では)など、様々な観点から議論があり、今すぐには実現が難しい状況です。

ひなん所の備蓄品、地域住民分すべての分は「ない」

またひなん所に行けば「水・食べモノはもらえるだろう」と思う人も多いかもしれません。ですがひなん所の備蓄品の数は

⇒ 地域住民数ではなく、「災害で自宅備蓄品を持ち出せなかった人の分」

を想定して用意されています。
つまり地域住民数より、ぐっと少ない数の備蓄品しかないのです。

たとえば静岡市のある市街地のひなん所(収容可能人数・約600人)では、備蓄食料はカンパン500個・アルファ米500個です。

一見定員ひとりにつき2食分ほどあるように見えますが、2食分しかないとも言えますし、しかもこのひなん所は街の中心地にあり、時間帯によっては地域住民にプラス大勢の買い物客やビジネス客がひなんしてくることが予想されます。

実際災害が起これば、どれだけの人数がひなんして、そのとき備蓄食料はいくつあれば足りる・安心だといえるのか…。

では実際のひなん所の備蓄品は、具体的に何が、どれだけあるのか。
下記一覧表で確認できます。

【静岡市の各ひなん所  備蓄品の品目と数】

葵区

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/machipo-bucket/documents/p01.pdf

駿河区

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/machipo-bucket/documents/p02.pdf

清水区

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/machipo-bucket/documents/p03.pdf

備蓄品目と数はひなん所によって大きく異なり、とくに仮設トイレ・トイレットペーパーの備蓄がゼロのひなん所もあります。

トイレットペーパーはかさばるうえ劣化も早く、大量備蓄が難しい品です。ですが国内トイレットペーパー生産の約4割は静岡県で、静岡県が被災すれば全国で深刻な品不足になる恐れがあり、各家庭での備蓄が大切です。


こうしたデータを知れば知るほど

「ひなん所をアテにするのは難しそう…」
「自宅が無事なら、ひなん所は本当に困っている人たちのスペースに」
「自宅の耐震化・備蓄を進めた方が早いし、確実!」

と感じるのではないでしょうか。

わが家はもしもの時、自宅で過ごせるよう準備をすすめるのか、つらいひなん所生活を選ぶのか。ひなん所のリアルを知って、ぜひもう一度考えてみてください。

「近くのひなん所」って、どんなとこ?

● ひなん所は「自宅で被災生活する人」「ひなん所生活する人」のどちらも、情報・食事・物資等の提供を受けられる

● 「ひなん所生活は過酷なモノ」。我慢・ストレスの連続で、災害関連死の原因になることも

● 静岡市のひなん所の定員は約12万人分。市民70万人のおよそ2割未満の定員しかないのが現状

● ひなん所の備蓄食料は、地域住民全員の分は「ない」

● 最寄りひなん所の定員・備蓄品を知って、「ひなん所に行かなくて済む」よう自宅耐震化&備蓄をすすめたい

【監修】 内閣府火山防災エキスパート/静岡大学防災総合センター教授 岩田孝仁

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