車中泊で車内が冷える原因は、ガラス窓からの冷気侵入。
ならば2日目は冷気を遮断する内張りを、ということで「プチプチ」(梱包用の緩衝材)を用意。
窓ガラスの形にあわせて、計10枚の内張りを作成しました。
「プチプチ」はホームセンター等で数m単位・1000円前後からロール売りされている。ガラス窓10枚分、ざっくり作って所要時間は約1時間30分。
日が落ちる前にテープで貼り付け。見た目はよくありませんが、これで少しでも車内温度の低下が防げれば、と期待します。
プチプチの内張りをした車内。外の明るさは通して、ソフトに目線をさえぎる目隠し効果もある。
さらに2日目は横になって寝られるよう、座席を整備。
自宅の座布団&クッション等を持ち込んで、できるだけ平らに、すきまができないよう整えました。
シートの継ぎ目から吹き上がってくるスキマ風を座布団でふさぐ。座る体勢よりはラクになるはず
カラダの寒さ対策もバージョンアップ! 毛布から冬用の寝袋にグレードアップ。
寝袋は収納サイズが毛布よりも小さく、かつ軽量。緊急用として常時車載しておきたい。手持ちの寝袋の収納場所を、ふだんから車内にしても。
1日目の経験を活かして臨む、緊張の2日目車中泊。
いよいよスタートです!
寒さ対策 : 寝袋
体勢 : 平らにした席に横になる
2日目はプチプチの内張りにLEDランタンの明かりが反射。車内はふんわりと明るくなり、暗さによる心細さは1日目よりやわらいだ。
災害時の車中泊でもプライバシー確保は重要な問題。プチプチなら外の気配がゆるやかに伝わってくる安心感も
車内温度は1日目とほぼ同じ6.5℃。外気温は4℃とやや高め
車内に入ってすぐに、「あれ、あったかい??」
おそらく内張りの断熱効果で空気の対流が起こらず、車内が完全な無風状態になっていたのでは、と推測。
寝袋をすっぽり頭までかぶって、シートに横たわります。
フラット部は全長約155センチ。男性だと足先がはみだしてしまい、完全に横になって寝るのは難しいかもしれない
車内温度の低下は、開始1時間でわずかΔ0.3℃。
1日目の温度低下がΔ1.5℃だったことを考えると、2日目は外気温が高いためか、それとも内張りのおかげか?
寝袋に包まれたおかげで、寝返りを打ってもスキマ風が入らず、足先も冷えない。
寝袋なら体温逃げるロスがない。水平に寝る=足を心臓の高さにして寝ることで、エコノミークラス症候群も防げる
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だんだんと眠気を感じる。
体感のあたたかさもスタート時からそれほど変わらず、安心しているといつのまにか眠りに!
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… … 睡眠中
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目が覚める。ここではじめて眠れていたことに気づく。
車内は5℃あったものの、カラダはかなり冷えているのを感じる。寝袋の上から毛布・ブランケットを追加。
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5時過ぎ、再度眠ることに成功!
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… … 睡眠中
アラームで目が覚める。
車内温度は2.8℃。空気は痛いほど冷え切っている。せっかくの内張りも、車体全体の温度低下を止めるほどには、効果がなかったよう。
屋外で結露した朝7時の温度計。外気温1℃、湿度は80%を超えている
カラダ中にだるさは残るものの、健康状態に問題はナシ。横になって睡眠をとれたおかげか、朝の爽快感も感じられる。
これでやっと
→車中泊2日目、終了です!
以上で車中泊体験はすべて終了しました。
2日間、おつかれさまでした…!!
■トイレはどうする? → “携帯トイレ”を載せておく
今回は自宅トイレを使用したが、災害時は自宅トイレも断水で流せず使用できない。外出先で被災することも考慮すると、ひとり数回分の携帯トイレは車載しておきたい。
用意があれば、車中泊しなくても必ず役立つ。
■5人乗のクルマでも、大人2人が限度 → 車中泊の人数・ひなん先の具体的な想定を
今回体験の車種・シートレイアウトで車中泊できるのは、大人2人まで。
残された荷室部分は奥行40×幅120センチほどで、幼児でも寝られないスペースしかなかった。
車中泊の可能性がある人は、車種や家族人数によってどのように車中泊をするのか、人数・ひなん先等を事前に想定しておく必要がありそう。
■睡眠がとれるかが重要 → 「寒さ対策グッズ」の車載を
寝袋のおかげで、2日目は1日目に比べラクに過ごせた。毛布やブランケットを追加することで明け方の凍える寒さの中も睡眠を継続することができたよう。
横になれれば断然カラダがラクで、寝つきやすい。災害時のような厳しい状況の時こそ、眠りにつける工夫は大切だと感じた。
車内は冷蔵庫の中にいるのとほぼ同じ温度(6.6~2.8℃/体験測定値)になる
【監修】 内閣府火山防災エキスパート/静岡大学 防災総合センター 教授 岩田孝仁