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<グラッときたら。自宅編③> 「マンション防災」はトイレが一大事!

地震で倒壊をまぬがれたマンションでも停電・断水、とくにトイレ問題は想像以上に深刻です。「4人家族なら簡易トイレ112回分」ほか、マンション特有の備えをすすめましょう。

大地震で、マンションはこうなる

マンション等の高層建築物では、上層階になるほど揺れが大きく、長く続きます。過去の震災ではマンション特有の困難が数多く発生しました。

大地震でマンションは、こうなる

【揺れた、そのとき】

■高層階で増幅される、大きな揺れ

・「長周期地震動」により、高層階では船酔いを起こすような大きなゆっくりした揺れが長時間続く

→東日本大震災では西新宿の超高層ビルで、最大1m幅以上の揺れが10分以上続いた例も


■エレベーターの閉じ込め

・揺れがおさまったあと、エレベーターは被害がないように見えても余震や停電、故障で急停止する場合も。エレベーター内に閉じ込められる恐れがある

→東日本大震災では約210件の閉じ込めが発生


■玄関ドアが開かない

・玄関周りの壁が変形、ドア枠・ドア本体もいっしょに歪み、ドア開閉ができなくなる

→マンションが「コンクリート造」か「鉄骨造」かでも、壁およびドア枠のゆがみ具合は変わる。自分のマンションの玄関ドアはどれくらい閉じ込めリスクがあるのか、販売会社等へ確認しておきたい

→自宅ドアが「閉じ込めリスクが高い」と分かったら、「揺れの直後は玄関ドアを開けて、ひなん路を確保する」を日ごろから意識しておく


・開かなくなったドアをバール等でこじ開けると、施錠ができなくなる。応急処置で補助錠をつけることになるが、品薄や工事の順番待ちの間、防犯面が不安に

→窓周り大手メーカーから、ドア枠とドア本体の空間を確保し、閉じ込めリスクを軽減する「耐震仕様・改修用玄関ドア」が発売されている。平常時に玄関ドアそのものを耐震仕様に交換しておくのも、ひとつの方法

■消火活動が困難
・一般に消防の「はしご車」が届くのは、地上30m付近(マンション10~11階)まで。その際はしご車とは別に、放水用の水を積んだポンプ車も現場に到着している必要がある

・さらに上階は放水で届く範囲まで、または人(消防隊員等)が直接現場まで乗り込んで消火活動するしかない

→静岡市をカバーする「はしご車」は5台。うち4台は35m、1台は40m(14階程度)まで届く

→ただし地震時は各所で火災が同時発生、道路も渋滞。消防隊・はしご車・ポンプ車が自分のマンションまで到着するか分からない。また住民が消火しようとしても断水で水がない可能性もあり、あらゆる消火活動が困難になる

地震後、マンションが停電するとどうなる?

地震後マンション建物が無事で、自宅で過ごせる状況だったとしても。被災生活は断水・停電の影響を大きく受けることになります。

備えがなければ、自宅マンションでの生活が続けられない場合もあります。

マンションが停電すると、どうなる?

■トイレ排水ができない(⇒ふえる一方のトイレゴミ保管が大問題!)
停電によるポンプ停止で給水できず、また断水の影響もあり、水が流せないのでトイレが使えない。もしも無理に流して全戸の排水管のどこかに損傷があれば、階下に汚水が漏れてしまう。

→簡易トイレ等の備えがあったとしても、トイレゴミは毎日家族分たまり続ける。行政の回収が始まる&トイレ排水OKになるまでには、長ければ数か月程度(東日本大震災では最大4ヵ月)かかる場合も

→トイレゴミは黒ビニール袋等に入れ自宅ベランダ等で保管するしかないが、強い悪臭がつきまとい、生活の質を著しく低下させてしまう。トイレ処理用品の備えがなければより一層困ることに


■断水する
一般にマンションの水は、電力を使って全戸に供給している。給水設備に発電機等が備えられていたとしても、全戸の配水管に損傷ナシ(=漏水の恐れナシ)と確認できるまで、給水再開はできない

→熊本地震ではマンションの受水設備は無事でも、水道局の配水管損傷による水圧低下で流入量が低下、断水となった事例も


■高層階でもエレベーターが使えない(=人・モノの運搬困難)
重い水や食料を背負って高層階まで上り下りする生活を続けるのは、非常に困難。足の悪い人が外出中だった場合、階段が上れず一時的に自宅に帰れなくなる場合も

高層階に住むお年寄りは、自力で水や食料を運ぶのは難しい。マンション住民同士での助け合い(=共助)が大切になってくる

■ガスも給湯できない
操作パネルが100V電源で動くガス器具の、ほとんどの機種は使えない(※例外もあり)。都市ガスそのものも復旧までに時間がかかる。断水もあり、お風呂や冬場のガス温水床暖房も使えない

■機械式駐車場からクルマが出せない
停電中はパレット昇降や出入口シャッターが作動せず、クルマの出し入れができない。作動中に停電になった場合は自動復旧せず、保安会社が復旧作業をしないと使用できない場合も

■電源が必要な電話・ラジオ・テレビ・パソコン等が使えない
マンションに限らず、常時コンセントにつないで使う固定電話等は停電により使えなくなる。通信手段がなくなり、スマホ・ケイタイを持たない高齢の親族とは連絡がつかなくなってしまう
町内会に入っていない、マンション自主防災組織の動きが鈍い場合は、災害情報や地域のひなん・支援情報も入手しづらい

■電気復旧後に、階下へ漏水
自宅からひなんする際、電源ブレーカー落とし忘れ・止水栓締め忘れにより、電気復旧とともに残っていた水があふれ、階下に水漏れ被害(※)が。目にはみえない、構造内部の給排水管損傷による漏水も多く発生
※電気温水タンクの転倒、給排水管の亀裂、全自動洗濯機の水道ホースが外れた等による

とくにマンションで気をつけたい、トイレ対策

被災後自宅マンションで生活を続けるとき、大きな問題になるのが“トイレゴミ”です。

東日本大震災の被災自治体では、下水道の仮復旧までに

■平均34日/最大で4か月以上 
[出典]:NPO法人 日本トイレ研究所

の時間がかかっています。

震源地から遠く離れた千葉県浦安市でも、液状化の影響で下水管が損傷、約30日間トイレが使えない状況が発生しました。

ヒトがトイレをガマンできるのは、できて半日。マンションによっては管理規約で「震度●以上で排水禁止」など、定められている場合もあるでしょう。お腹がすくよりも早く、トイレ問題は発生するのです。


トイレゴミは、原則として自宅保管が求められます。

戸建てでは庭に埋める等できても、マンションではガラス一枚隔てたベランダ等で保管せざるを得ない。何も備えをしていなければ、自宅での生活は不可能になってしまう

そのためには凝固剤、消臭剤とポリ袋がセットになった「簡易トイレ」を用意しておきましょう。目安は最低1週間分(1日4回分×家族人数×7日間)です。


<例>家族4人なら、「112回分の簡易トイレ」の備えを

4回@1日ひとり × 4人 × 7日分  →  112回分


いざとなったらどうにかなる、と思っていても、モノが流通していない地震後ではたとえば新聞紙さえすぐに使い切ってしまいます。ちょうど古紙回収に出してしまった、新聞を購読していない等の家庭では、代用品もすぐにはみつからず途方に暮れてしまうでしょう。

トイレゴミを入れる黒ビニール袋は、ある程度の重さに耐えられ、水分が浸みださず、ニオイも通さないような厚手の品が適しています。ですが最近では黒ビニール袋を常備している家庭も少ないでしょう。

「防災トイレ用品は、マンション生活の必需品」と割り切って、市販の簡易トイレを購入するか、代用できるトイレ処理用品を必要分、必ず用意するようにしましょう。


■備えておけば役立つ、トイレ処理用品
・トイレットペーパー (1か月分)
・新聞紙&ポリ袋 (1回につき、5~6枚をポリ袋に入れて簡易トイレ代わりに使用)
・黒ビニール袋 (家族分をまとめて1日1枚として、1か月分)
・凝固剤
・消臭剤
・あればペットシートや猫砂(凝固剤・消臭剤として使える)


またマンションによっては、災害時のゴミ集積場所が決められている場合もあります。そうした情報は、各マンションの「管理規約」や「防災マニュアル」で確認できます。

もしも手元にない人は平時のうちに管理組合や管理会社に問い合わせて手に入れ、防災に関する項目に目を通しておきましょう。

<グラッときたら。自宅編③> マンション防災のキソ知識

●マンション高層階は、大きくゆっくりとした揺れが、長時間続く

●とくにエレベーター閉じ込め・玄関ドア閉じ込め・火災に注意

●「トイレゴミの保管」が大問題!自宅ベランダ等で長期間保管せざるを得ず、悪臭に悩まされる

●家族4人なら「112回分の簡易トイレ」等、トイレ処理用品の備えが必須

●自宅マンションの「防災マニュアル」を手に入れ、目を通しておく

【監修】 内閣府火山防災エキスパート/静岡大学 防災総合センター_センター長・教授 岩田孝仁

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