側面に「DAIDOGEI」のロゴがみえる自販機。「大道芸ワールドカップin静岡」応援自動販売機です。
静岡市役所、青葉公園側の1階入口。
左手奥側に、1台の白い自販機が見えます。
一見、よくある普通の自販機。
ここから見ても、とくに変わった点には気づかない
さらに近づいて見てみると、黄色い「災害救援ベンダー」のステッカーが。
「 充電池搭載 災害救援ベンダー
※ この自動販売機は 災害停電時においても、飲料供給ができます。 」
との文字が。
投入金の電光板横にある、四角い黄色いステッカーがそれ
そう、この自販機は災害時に役立つ機能を備えた、“災害対応自販機”なのです。
提供元(飲料ベンダー)であるキリンビバレッジ(株) 静岡支社さんによると
管理者が手動によるキー操作で[災害救援モード]に切り替えることで、停電時も1週間以内であれば内蔵バッテリーによる稼働が可能。約700本の商品が取り出せるのだそう。
※状況によって、1週間稼働が難しい場合もあります。
※この自動販売機のパネルは、諸事情により大道芸支援POPになっていますが、本来は「災害支援ベンダー」のPOPが添付されます。
一般に自販機はコンセントから供給される電気で動いています。
ですが大地震が起きると停電・断水が長期間続き、せっかく目の前に飲料があるのに取り出すことができません。
そこで災害対応自販機の出番です。
===■災害対応自販機の仕組み■===
→平常時は通常の自販機として使用
【>>>!災害発生!<<<】
→ 停電発生
→ キー操作/遠隔操作等で[災害救援モード]ON
→ 内蔵バッテリー/専用手回しハンドル等で 非常用電源に切替
→ 飲料提供開始
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となり無償提供が可能になります。
※自販機により非常時供給の方法は異なる
気になるのは実際に災害が起こったとき、飲料をいつ・誰が取り出し・誰に配布するのか。
これに統一された基準はなく、個々の自販機ごと、飲料ベンダーと設置管理者が結んだ契約内容に基づき判断するのが一般的のようです。
ただし過去の事例を見てみると、2011年の東日本大震災時は
■自販機約400台が稼動 → 飲料8万8000本以上を無償提供
■首都圏において、帰宅困難者のひなん施設で飲料の無償提供
された実績があり、その存在が確実に役立っていることが分かります。
http://www.cocacola.co.jp/vending-machine/emergency-support
日本国内にある自販機の数は
■約247万台 (2016年12月末・飲料用自販機)
出典:[社]日本自動販売機工業システム機械工業会
といわれますが、そのうち災害対応自販機はごく一部。残念ながら設置場所等の公開はされていないようです。
ですが多くの飲料ベンダーは各自治体と協定を結び、支援物資として飲料を優先提供する取り決めをしています。
そのため主な設置場所は災害時にひなん所・復興拠点になる
■公共施設(役場、図書館、体育館、公民館)
■病院
■学校
■パーキングエリア
が中心です。
また管理者がいて、防災対策を進めている
■集合マンション
■一般企業
への設置も多いようです。
ジブン防災スタッフが静岡市役所内の他の自販機をチェックしたところ、他には見つからず、災害対応はこの白い1台だけ。
また静岡県庁はどうだろう?と探しに行ったところ、県庁本館・1階北口(駿府公園側)入ってすぐの館内に、1台設置がありました。
館内に入ってすぐの正面にある。一般の来庁者は気づかないような目立たない位置
ならば街中は、と青葉公園沿いを中心に探してはみたものの…。驚くほどたくさんの自販機があるなかどれもふつうの自販機ばかり。
結局見つけられたのはこの2台だけでした。
やはり災害対応自販機は、貴重な存在のようです。
今年8月、大手飲料メーカーの伊藤園では、災害対応自販機の台数が1万台を超えたと発表しました。
■「災害対応自動販売機」の設置台数が1万台を突破!
https://www.itoen.co.jp/news/detail/id=24969
前出の自販機業界団体に伺ったところ
「正式には把握していないが2011年の東日本大震災以降、台数は着実に増えている。
商品を無償提供するタイプ、電光表示で災害情報を流すタイプも合わせると、
5万台近くになるのでは」
とのコメントが。
今は貴重な存在の災害対応自販機ですが、今後の台数増加に期待が持てそうです。
よく行く身近な施設に“災害対応自販機”はあるのか。ぜひいちど注目してみてください。