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川根茶を世界へ!地域の特産品をアートとの融合で世界のブランドに

静岡市葵区鷹匠にある靴のセレクトショップ「quasi(クワズィー)」。ショップ自体がアート空間として楽しめるこの店舗のオーナー・太田さんは今、あるプロジェクトに取り組んでいます。それは「川根茶のブランディング」。なぜ靴のセレクトショップのオーナーが川根茶のブランディングを行なうことになったのか?太田さんにじっくりお話を伺いました。

【Profile:太田宗哉】

quasiオーナー。静岡市出身。桑沢デザイン研究所卒業後、大手ファッションブランドにて営業・企画・ファニチャーデザインに携わる。その後静岡にUターン、家業の家具メーカーにて設計デザインに従事するとともに、様々な企業で企画・デザイン・広報業務を経験。2014年3月、シューズセレクトショップ「quasi(クワズィー)」をオープン。内装デザイン、CIデザイン、バイイングの全てを自らが手がけた。現在はシューズブランド他、異業種のクリエイティブディレクションも行っている。

川根茶なら、新たなお茶文化のスタイルを提案できる

きっかけはシャンパングラスに入った「川根茶」

茶処・静岡の中でも有数のお茶の産地である川根本町。品評会での受賞経験も多数ある。一口に川根茶と言っても、微妙な傾斜や土壌の特徴ごとにそれぞれ茶樹の植え方を調整しており、高い品質を実現している。

昨年の秋、川根本町に勤務していた知り合いから「quasiの客層、つまりファッションに敏感な人たちに、お茶がどう受け入れられるか反応を見てみたい」と相談されたんです。どのようなお茶を出すのかと試飲したのは、茶葉をシャンパングラスに入れ水出ししたもの。それはとても衝撃的な味でした。今まで飲んでいたお茶はなんだったんだろう、と思うほど。シャンパングラスで飲む演出もすごくよい雰囲気でした。新たなお茶文化のスタイルを提案できるかもしれない、と感じました。そこで、quasiを会場にした呈茶会を開催しました。

農家の方たちは、いいもの作りたいという意識がものすごく高い

評判は上々。しかし太田さんには気にかかることがあった。

川根茶の素材の味を楽しむなら水出し。茶葉が浸る程度にミネラルウォーターを注ぎ1分程待つと、茶葉の旨みが抽出されたお茶が出る。濃く、強い渋みのある味わいとその後の甘味は、一度飲んだら忘れられない。

実は、呈茶会で出したお茶は品評会用に作られたもので、通常市場には出回っていないんです。当然、値段もついていません。こんなにおいしいお茶を、飲みたいと思っても飲めないなんてすごくもったいないと思いました。ただ、価値にすると1杯3000円程度の破格の金額になる、とも聞きました。

この時に、パッケージデザインも含めた販売するためのお手伝いをしたいと考えるようになりました。地元の茶農家の方たちは、いいものを作りたいという意識がものすごく高いのに、販売戦略のノウハウがありません。一般企業のように、リスクをかけてまで販路を広げるという考え方とは無縁なんです。
でも、川根という場所にはストーリーがある。美味しいお茶が育つ奇跡的な気候や地形の大井川流域、地の利を生かした生産体制。それらを含めたブランディングで世界と勝負できるお茶に仕立てられる、僕はそう確信したんです。

世界のセレブを魅了するパッケージを考える

太田さんはまず生産農家へ足を運び、茶畑の視察を行った。

品評会用の茶葉の摘み取りはもちろんすべて人の手によるもの。傷には注意深く目を凝らし、均等な長さで丁寧に摘んでいく。

川根茶のブランディング・プロジェクトを遂行するために先頭に立ち、人と人とをつないで、世界に一つのものをプロデュースする、それが僕にできることなんじゃないかと考えました。そこで、quasiの店内壁画を手がけた高橋信雅さんをアートディレクターとして迎えました。世界で活躍する彼なら、世界のセレブが気に入るアートなパッケージができるはずだと思いました。この視察には、デザインを学ぶ学生2人にも同行してもらいました。お茶の生産現場について、若い人の率直な意見を聞きたいと思ったからです。

このメンバーでまず訪れたのは、僕が最初に試飲したお茶を生産している畑です。この畑は品評会に出す為に、クオリティの高いお茶を生産しています。ここでは、手間暇かけて作ったお茶を、生産数が少なくて販売できないという課題をかかえていました。

この人たちのお茶なら、僕は自信を持って売り出せる

畑を見て浮かんだイメージは「最高峰」

丁寧に摘まれた茶葉は品質や量を確認し、冷蔵トラックで運ぶ。

品評会に出すお茶摘みの工程を実際に視察して連想したのは「F1」。世界最高峰の技術を結集して作られるレーシングカーF1と、一杯のお茶の為に各工程にプロフェッショナルの技術がつまった川根茶には、通じるところがあると感じました。そう考えると品評会はF1のグランプリと同じですね。
また、生産地の特色が色濃く反映されるという点で、高級ワインとも近しいと感じました。静岡をボルドーとしたら川根地域はメドック、その中にヴィラージュにあたる各地区があって、それぞれの農家=シャトーがあるんです。

今回は川根の茶農家のなかでも"レジェンド"といわれる、お茶作りの名人たちに会ってきました。実は、近年言われている世間の「お茶離れ」に対して農家の人たちって、どこかあきらめムードなのかな、と勝手に思っていたんです。でもこのレジェンドたちは違いました。屈託のない笑顔からは、いいものを作るんだという使命感とプライドが感じられました。この人たちのお茶なら自信を持って売り出せる、僕はそう確信しました。

ハイクラスの人に向けた戦略。ターゲットは世界中のセレブ

最高峰のお茶を日常の嗜好品として楽しんでもらえる層をターゲットにしたプロジェクトの骨組みが見え始めている

摘まれた茶葉は特に注意深く確認を行う。写真右の茶葉にあるわずかな傷もNG。

目標は世界のセレブ層に向けた「川根茶献上プロジェクト」。夢のような話ですが、動き続けていれば、必ずそこにたどり着けるものなんです。高い目標に向かって行くための、現実に見合った方法を考えることが大切です。
川根茶は、間違いなく世界一のお茶といっていいクオリティ。でも、現在のごくありきたりのパッケージのままではその魅力は届きません。世界にデビューさせるために、世界一のお茶にふさわしい衣装をまとわせてアートに変えるんです。今は、現地の茶農家の人たちとともに、具体的な進め方を打合せ中。ぜひ楽しみにしていてください。

地域と世界を繋ぐ存在を目指して

「どうして靴のセレクトショップが川根茶のプロデュースを?」と、聞かれることがあります。quasiは「似て非なるもの」という意味を持っていて、お客様に五感で靴を選んでもらうリアル店舗にこだわっています。それに加えもう一つの思想があります。それは、静岡の文化や特産物・アーティストと世界を繋ぐ窓口(ワームホール)となること。地方で埋もれている魅力的でクオリティが高いものを、quasiを窓口に世界に紹介したいのです。川根茶のプロジェクトもこの考えで取り組んでいます。

---地域の魅力とアートの力を掛け合わせ世界への展開を目指す太田さん。お話の最後に「実は今度、quasiが静岡を飛び出すんですよ」と、こっそり教えてくれました。四国・高松市の仏生山(ぶっしょうざん)で、2015年9月に期間限定ショップをオープンするそう。詳細はquasiのホームページ、Facebookをチェック。

営業時間
  • 営業時間
    12:00~20:00
  • 定休日
    水曜日
スポットタグ
この場所の情報
  • 420-0839
  • 静岡県 静岡市葵区鷹匠 1-14-1 MEVIUSビル1F 
駐車場に関する情報
なし。近隣の駐車場をご利用ください。
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