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災害時の“ガソリン不足”、どうしよう?

災害時に不足して困るモノ。水に次ぐ2番目は“ガソリン”なんです。静岡市のガソリンスタンドに伺ってガソリンスタンドの安全性と災害時の給油はどうなるのか、教えてもらいました。

災害時 “ガソリン不足”が私たちを苦しめる

震災のニュースで「ガソリンスタンドに並ぶ、長蛇の車の列」を見た人も多いでしょう。
※ガソリンスタンド=以下GS

これは震災で発生した、深刻な“ガソリン不足”の影響です。

【東日本大震災 “ガソリン不足” が起きた理由は?】

沿岸部に集中している原油製油所・出荷施設 が津波で被災・炎上 
→ ガソリン生産量そのものが減少
 

輸送用タンクローリーも津波で被災 
→ 地割れ・ガレキによる道路閉鎖も重なり、GSにガソリンを輸送できない


地域のGS も被災 
→ 被災や停電のため、多数のGSが閉店


営業可能な一部のGSにクルマが集中 
→ ガソリン供給不足が続き、ついに ガソリン在庫切れ 


⇒ ガソリンを買えない車が続出!! 


となったのです。直接被害のなかった周辺地域でも「唯一開いているGSに数時間並んで、買えたのは1000円分だけ」といった入手困難な状況が数多くみられました。

このガソリン不足は地震当日から発生し、混乱が収束するまで1ヵ月近く要しています。

ふだんからクルマなしの生活は成り立ちませんが、災害時こそクルマの果たす役割は大きくなります。

【災害時、クルマを必要とするケース】

・行方不明の家族を探しに行きたい
・ケガ人、病人を運びたい
・家が倒壊、ひなん所も満員。車中泊したい
・クルマを動かしてスマホ充電、カーラジオ、照明、暖房を使いたい
・被災地外へ、水や食料を買いに行きたい
・被災地外へ、ひなんしたい

日常ではあまり意識しませんが、災害発生時にガソリンがあるかどうかは、その後の被災生活を大きく左右するのです。

災害時に安全な場所は、“ガソリンスタンド”!

大量のガソリンが備蓄されているGS。地震があったら大丈夫なの?と思うかもしれません。

ですが阪神・淡路大震災で大火災が発生した際、その類焼を食い止めたのは、実は「GSの防火壁」。周囲の建物が次々と延焼・倒壊するなか、頑丈なGSの建物が復興拠点として役立ったのです。


そこで駿河区のGS「カーケアセルフ中田SS」さんに伺って、実際のGSの様子を教えていただきました。

静岡駅南にある24時間営業のセルフスタンド。計量機(給油設備)は4基。夜間でも危険物取扱者の資格を持ったスタッフが必ずいるので安心

■カーケアセルフ中田SS.  静岡市駿河区中田本町16-19

お話を聞かせてくれた岩本所長。ご近所さんらしいお客様と笑顔を絶やさず会話する姿に、地域から頼られるGSであることが伝わってくる

岩本所長:「GSは危険物を扱う場所なので、消防法に基づく厳しい基準で作られています。

建物は耐震・耐火仕様が基本。万が一に備えて計量機上には屋根、周囲のコンクリート防火壁は2m以上。燃料を貯めるタンクは地下に埋めてあります」

全国どこへ行っても、GSといえば「高い大きな屋根とコンクリート壁」。万が一の事態に備えこのスタイルとは、知らなかった!

「床もコンクリートで、かなり厚いですよ。排水溝があるのは雨水がたまらない効果もありますが、給油時にこぼれた燃料が給油所外に散らばらないよう、排水溝経由で分離漕に集める意味もあるんです」

消防の抜き打ち検査でも排水溝は必ずチェックされるそう。こうした安全設計のおかげでGSの地震に負けない安全性が保たれている

地震がきたその時、ガソリンスタンドはどうなる?

―― もしも給油中にグラッときたら、どうなるんですか?

「計量機は震度5以上を感知すると、瞬時に自動で給油ストップします。お客様が引火防止の電気除去シートに触れて頂くことで衣服に帯電している静電気を除去することが出来る為、安心です」

給油中に揺れを感じたら、すぐにクルマの給油キャップを閉め、ガソリンがこぼれるのを防ぎたい

「みなさん地震になると、GSにガソリン在庫がどれぐらい残っているか、心配になりますよね。

当GSの場合だと、在庫量が常時一定以上になるよう元売りメーカーとデータでつながっていて。人が発注業務をしなくても、自動でタンクローリーが来て補充していくシステムになっています」

―― えっ、そうなんですね! じゃあ地震の起こった日がたまたま運悪くガソリン売り切れだった、ってことはなさそうですね。

「そうなりますね(笑)」

揺れの次は大停電!給油はできる?

―― 熊本地震では約4割のGSが、停電が原因で営業できなかったと聞きましたが…

「計量機は通常電気で動いていますが、手動での給油もできます。

計量機下のパネルを開けると滑車があるので、その軸に手動用ハンドルを差し込んで、ぐるぐる回転させて給油します」

レギュラー・ハイオク・軽油と3つの地下タンクからひとつの計量機につながっている

緊急時は円盤状の滑車の中心にはめたハンドルを回し、地下タンクから燃料を吸い上げる。茶色いホースが燃料の通り道

―― 手動でも給油できるんですね。安心しました。

「ただ手動では、ほんの僅かずつしか給油できません。恐らくそれでは多くのお客様のご要望にお応えできないので、計量機を動かせる緊急用『自家発電機』も備えています」

ガソリンで動く自家発電機。ケーブルをGS内のコンセント接続ボックスにつなぎ、計量機へ電源供給。給油を再開する

―― すごいですね!これでどれぐらい給油できるんですか?

「燃料のガソリンさえあれば、ずっと動かせますよ。

いま自家発電機を持つGSは限られていますが、全国のGSで、国の補助金を受けて発電機整備を推進する計画が進んでいるところです」

―― 近所のGSが発電機を備えていて、災害時も営業してくれたら。本当にありがたいですね。

災害時のガソリン不足は、「半分を切ったら給油する」で備える

「災害時は 消防・救急・警察車両等への給油がどうしても優先になります。並んでもらっても在庫切れにだったり、満タンにできない給油制限もかかると思います。 

かといって日常自宅でガソリンを保管するのはおすすめできません。ガソリンは少しの静電気でも引火してしまう、危険性の高い燃料です。

ですから、できる対策としてはクルマの燃料計が半分を切ったら「満タン」に、を習慣にしてもらうことだと思っています」

―― この『満タン&灯油プラス1缶運動』は、そういうことなんですね。

県内のGSが加盟する「静岡県石油業協同組合・静岡県石油商業組合」では、災害発生時の備えとしてこの運動を展開している

「ガソリンがあれば車中泊もできます。災害時にクルマが使えるかどうかは大きいはずなので、ぜひ意識してもらえたら、と思います」

災害時の“ガソリン不足”、どうしよう?

● 東日本大震災ではガソリン不足が深刻。クルマが動かないと被災生活はさらに苦しくなる

● GSは耐火・耐震仕様でとても安全な場所。万が一に備えた強固な設計になっている

● 給油中にグラッときたら、震度5以上で瞬時に自動給油ストップする

● GSによっては停電でも、手動ハンドルや自家発電機を使って給油再開ができる

● 今は自家発電機のあるGSは少ない。今後は国のサポートのもと、増加する傾向に

● 「半分を切ったら満タンに」の習慣で、災害時もクルマを使うことができる