平成30年6月初旬、「長田の桃」の生産者・杉山 貴勇さんを訪ねました。
「長田の桃」は、早い年は5月から出荷が始まり、最盛期は6月。
一般的な露地物の桃の旬が7月なので、「長田の桃」はそれより1〜2か月ほど早くから出荷がはじまります。
長田地区周辺の皆さんには「長田の桃」は比較的知られていますが、「静岡市内全体となると、まだまだ認知度が低い」と杉山さんは話します。
それもそのはず、いわゆる一等品のほとんどは東京・名古屋の市場へ出荷されるため、静岡市内での流通は一部のみ。
静岡市内では、JA静岡市ファーマーズマーケット「長田じまん市」を中心に販売しています。
東京では1個500〜600円で販売されるという高級品種ですが、収穫の際に傷がついてしまうなどして市場に流通できないものは、各農家の無人販売等で買うことができるとのこと。
シーズンには長田地区を回ってみるとよいかもしれません。
購入の際には、桃色がきれいで、整った形をしているものを選んで買うとよいそうです。
完熟前に収穫して出荷されるため、色づきがよくない場合は、数日置いて、色が濃くなってからいただきましょう。
食べる直前に、1〜2時間程度冷蔵庫で冷やすとおいしくいただけます。
杉山さん曰く「すいかのように、少し塩を振って食べると甘みが引き立つよ」とのこと。
皮は手で簡単に剥けるので、贅沢に丸かじりしてみるのもお勧めです。
「長田の桃」の品種は、出荷が早い順に「さおとめ」、「はなよめ」、「日川白鳳(ひかわはくほう)」、「暁星(ぎょうせい)」、「白鳳」など。
他県でも栽培されている品種ではありますが、同じ品種でも「長田の桃」は、水はけがよい土壌と温暖な気候を持つ海岸線沿いで栽培されるため、色づきが美しくジューシーで甘い!
杉山さんは、他県産のものもいろいろ食べ比べているそうですが、「長田の桃は甘い」と自信を持って勧めてくれました。
3月下旬、桜の開花とほぼ同じ頃、桃の花も開花します。
枝にびっしりと花が咲きますが、おいしい桃を作るためには、摘蕾(てきらい。実の生育のために、余分なつぼみを摘み取ること)が必要です。
枝の状態に合わせ、実が下向きになるように調整していきます。
4月中旬になると小さな実がなり始めるので、再び個数を調整。
そして、5月初旬に、実を保護するための袋を二重にかけ、出荷前の頃になると、二枚のうちの一枚の袋を外し、陽に当て、収穫の時期を待ちます。
最終的には、1本の木に実が300〜400個程度なるそうで、杉山さんは30〜35本を管理し、6000個程度を収穫しています。(他にも育成中の苗木も20本程度あります。)
5〜7月の出荷シーズンを終えた後は、肥料や枝の剪定、病気を防ぐために木に消毒をし、次のシーズンに備えます。
樹齢30年近い木。貫禄があります
未来を見据え、若い苗木も育成中
「桃栗3年」といいますが、実際、出荷できる実をつけることができるのは5年目以降。
最近の品種は木の寿命が短く、15〜20年程度だそうですが、すでに30年程度経ている木もあるそう。
桃がたっぷり太陽の光を浴びられるように、枝は中心から扇型になるように剪定しています。
おいしい桃を作るために、たっぷり愛情をかけ、木を大切にしていることが伝わってきます。
長田地区には、現在では約100軒程度の桃農家がありますが、若手の生産者不足もあり、耕作放棄地も出始めているそうです。
「桃作りがもっと魅力あるものになってくれれば」と杉山さんは話します。
駿河区役所地域総務課が実施している「駿河区旬穫祭 in 葵スクエア」での販売や「旬穫祭 長田の桃狩り」等のイベントにも積極的に協力していますが、まだまだ魅力を伝えきれていないと感じるとのこと。
「長田の桃」の魅力を広めるためにオリジナルの品種開発や、桃を使ったスイーツやレシピ開発等にも関心を寄せているといいます。
最近では、桃のジェラートや桃スパゲッティ、桃のスープ、桃のタルト、桃のビールなど、静岡市内の飲食業界でも「長田の桃」を使ったメニュー開発がじわじわと進んでいるそう!
「長田の桃」を見かけたら、ぜひ味わってみてくださいね。
駿河区役所 地域総務課
住所/静岡市駿河区南八幡町10番40号
TEL/054-202-5814
FAX/054-287-8709
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