「敷居が高い」「大学生なんかが行ってよい場所なのだろうか」――小説や映画の影響からか、バーというときらびやかで大人っぽくて高級そう、というイメージを持っていて、気になっていてもとても一人じゃ怖くて入れない。そこで、取材を名目に憧れのバーへ勇気を振り絞り行ってみた。
Bar Rowanのマスター寺崎さんに、バーとはいったいどのような場所なのか、どのように楽しむのか、お話を伺った。
星ビルの外観。2016年1月23日をもって閉店し、2月9日より葵区常磐町の新店舗に移転予定。
-バーってそもそもどういう場所なのでしょうか?
お客さまが自分の空間を楽しむところだと思っています。バーならではの他では味わえない、ほど良い緊張感、非日常的な雰囲気の中で一人でゆっくりお酒を楽しむ人もいれば、マスターや居合わせたお客さまとの会話を目的に来る人もいます。なので、楽しみ方は人それぞれです。また私は、バーは社交の場でもあると思っています。お客さまは年配の方も多いので学生さんなど若い方は会話の中で色々勉強になるのではないでしょうか。
-初対面の人と話すのが苦手で、上手く話ができるか心配という方は?
お客さまの様子を見て私からお客さま同士の間に入って会話を促したりすることもあるので、それをきっかけに話してみてはいかがでしょう。
マスターの寺崎さん
-バーテンダーとは、どのような職業ですか?
自分は、バーテンダーの役割とは空間づくりだと思っています。例えば、お客さまに合わせてかける音楽を変えたり、照明の明るさを変えてみたり、とこだわっています。しかし、やはりお客さまがいてこその空間なので、そこを第一に考えて空間づくりをしています。
-寺崎さんは一人でお店を切り盛りしているそうですが、大変ではないですか?
個人的には、一人でお酒や内装などを全部把握してやる方が自分には合っていると思っています。そんなに苦ではないですね、好きでやっていることなので。いろいろなことを勉強したり研究したりして。お酒も場の雰囲気も全部ひっくるめてお客さまが楽しんでくれたら嬉しいですね。努力も報われます。
-なぜバーテンダーという職業を選んだのですか?
きっかけは、学生の頃にバーでアルバイトをしていたことですかね。バイトをしているうちにバーの空間に惹かれていきました。もともと人と関わる仕事に就こうと考えていたので、それもあると思います。
-バーテンダーになってよかったと思うことはありますか?
お客さまたちから会話を通じて得るものがたくさんあることや、ひいきにしてくださる方とのつながりができること、ですかね。
-若い方も来店しますか?
私は10年くらい前からここに店を構えているのですが、当時に比べると減っています。若い方に限らず、日常的に町に繰り出してお酒を飲む人自体が全体的に減っていますね。
-お酒を飲みに町へ出る人が減っていることに関してはどう思いますか?
時代の流れなので仕方ないのではないでしょうか。私個人としては、寂しいなと思います。
-最後に、これからどのようなお店にしたいと思っていますか?
バーテンダーをずっと続けていきたいです。そろそろ郊外に移転したいですね。今よりももっと狭いお店に腰を据えて。町から外れてちょっと遠いけどわざわざそこまで飲みに行くようなお店にしたいです。
取材風景
取材を終え、やはりバーはお洒落な場所であるなと思った。行きづらさを生み出す独特の緊張感はバーならではの特権でもあるだろう。しかし、それを理由に行かないのはもったいない。美味しいお酒が飲める、人との出会いの場でもある、しかもこだわりぬかれた素敵な空間に浸れる。一人で行くのが不安なら友達を誘ってみてもいいだろう。とにかく、気になっている方は一度行ってみて欲しい。行けば、実際は存外堅苦しい場所でないとわかる。私はバーの敷居の高さを否定はしない。しかし、バーはそれ一辺倒ではなくとても温かい、人が様々な思いで空間を楽しむ場である。もしこの記事を読んで何か琴線に触れることがあったら、ぜひ生身で体感するのをおすすめする。
「バーに行ってみたいけど、行ったらどうすればいいの?」そんな悩みを抱えるあなたに、これさえ知っていれば怖くない!インドア系大学生の私がマスターから教わったことを7か条にまとめて伝授。