Original

出会いに導かれて進む。それがquasiの新たなブランディング

ショップ自体がアート空間のようで、個性的な靴がオブジェのように並ぶ「quasi(クワズィー)」。鷹匠にある、この靴のセレクトショップが、昨年秋、静岡を飛び出しました。そこは、香川県高松市にある仏生山(ぶっしょうざん)という町。ここで期間限定ショップを開いたのです。人の縁が繋いだというこのイベント。開催は偶然が重なったものだったかも知れませんが、オーナーの太田さんにとっては、今後の展開に手応えを感じるものだったようです。アーティストとのコラボの魅力や、今後のquasiや太田さんが目指す方向性などを伺った、インタビューの第3回目です。

クオリティの高い地方都市は、あまりにも衝撃的だった

香川県の高松駅から電車で20分ほどの場所に、仏生山町はある。時代の先端をいくクリエイター達が、今最も注目している町だと太田さんは語る。

香川県高松市の仏生山(ぶっしょうざん)で開かれた期間限定ショップの様子

仏生山は、10年前に温泉を掘り当てたのをきっかけに、まち全体を旅館に見立てる、〈仏生山まちぐるみ旅館〉という取り組みを進めています。僕がこの小さな町を知ったきっかけは、quasiの壁画を描いてくれたアーティスト・高橋信雅さんとともに活動していた高柳さんという方が、この地に移住したこと。彼はここで、「TOY TOY TOY」という雑貨店とゲストハウス付きのギャラリーを開いたんです。
僕も2年ほど前から仏生山の動きは気になっていたんですが、今回、高柳さんに声をかけていただいて、町づくりが完結してしまう前にぜひ一度見ておきたいと思い、まずは視察に出かけてみました。

太田さんが自分の目で確かめた仏生山。それはどんな町だったのだろうか。

正直、こういう地方の土地でも、クオリティの高いものができるんだと驚きました。地方都市の特徴でもあるのでしょうが、ここも例外ではなく、時間の流れはすごくゆったりとしている。僕は、「スローライフ」って言葉、実はあまり好きではないんです。まったりして、ちょっと停滞感もあるようで。
仏生山での暮らしも、大きな意味ではスローライフのカテゴリにはまると思うんですけど、そこは、もっと刺激的でした。田舎なので、“もの”は少ないけれど、そこで扱われているもの一つひとつにアートの要素があり、国内トップクラスのクオリティでできていると感じたんです。静岡のほうが東京に近くてずっと都会だけど、くやしいけれど到底及ばないと思いました。日本のトップクリエイターが集まると、こんな素晴らしい町づくりができるものなのかと。
自分の活動ベースの静岡と比較して少しもやもやした部分もあったけど、この衝撃は改めてquasiの意義とはなにかを問い直すきっかけにもなりました。

きちんと向き合って話をすれば、どんな土地に行っても通じるものがある

仏生山で開催した期間限定ショップ。地元の人がどんな風に受け止めてくれるのか、不安な部分が大きかったという。そんな中で得たものは?

誰も僕の店を知らないわけだしね。そもそも土地柄で、ヒールの靴を履いている女性が少ない。だけど、きちんと向き合って話をすれば通じるものがあると実感したんです。実際に、今までヒールを買ったことがないという女性2人に、買っていただくことができたんですから。
今までハイヒールを履いたことがない人にとっては、それは、夢の中のものに思えるかもしれない。でも、何気ない会話から打ち解けていくうちに、僕が惚れ込んだ靴についてきちんと話せば、普段でも履けるのだということが伝わって、興味を持ってもらえ、さらに購入に繋がる。商品の魅力ももちろん大切ですが、物事を動かすのは人との関わりなんだと実感できた出来事でした。
このイベントでは、仏生山でギャラリーを開いた高柳さんに繋いでもらったご縁ですが、今度は、quasiや僕自身が人と人を繋いでいきたいと、強く思うようになりました。

やるかやらないかは自分次第。その人とは一緒になにかを成し遂げる運命にある

仏生山から戻った後、太田さんは早速行動を起こした。クリエイティブデザイナー東哲平さんとコラボしたイベントをquasiで開催したのだ。

ファッションブランド『RBTXCO』の代表 東さんがquasiに来店された際の様子

奇をてらった部分は、なにもありませんでした。今までの経験で、ごく自然にできた感じです。
東さんは、ファッションブランド『RBTXCO』の代表でありクリエイティブデザイナー。洋服を作る際に大量にでるはぎれを見ているうちに、洋服を作っているのかゴミを作り出しているのかわからなくなったと、そのはぎれを使って「ホネシリーズ」「標本シリーズ」といった、動物などをモチーフにしたオブジェを作り始めたんです。捨てられてしまうものから作品を生み出すなんて、素敵でしょ。
これは一緒にイベントを開きたいと、社交辞令でなく本気でお誘いしたんですよ。具体的な日程も相談して。東さんもおっしゃっていたんですが、「やりましょう」と言いながら、話が具体化しないことはすごく多いんです。要は、やるかやらないかは自分次第、自分から積極的に動くかどうかです。そして、タイミングが合う合わないは、その人と一緒になにかを成し遂げる運命にあるかどうかだと思うんです。
誰かと誰かが出会うことで物事が動いていくこのような化学反応は、常にどこかで起こっている。その時に、「これだ!」と直感で動く楽しさを、今は感じています。誰かを招くのか、自分から動いてどこかに行くのか、どちらでも同じなんですね。狙って進めていくのではなく、その時々の出会いに導かれて新しいことをやってみる。それがquasiの新たなブランディングになっていくと、自信を持てるようになりました。

成功、失敗は関係ない、大切なのは経験すること

quasiには、イベントが終わった今も、東さんのぬいぐるみがディスプレイされている。まるで、もとからそこにあったかのように。

quasiのロゴである足をモチーフにしたオブジェ。このコラボイベントのために制作された

今回のイベントに合わせて「フットシリーズ」も作ってくれたんですよ。靴を扱うquasiのためのオリジナルです。実は、展示イベント期間中も、あまりに馴染みすぎて、お客さまもあまり気づいていなかったんじゃないかと思うんですよ(笑)。でも、それってある意味成功ですよね。だって、自然体でできたってことだから。東さんにも一日来店いただいたんですが、それによって、今までquasiと関わりのなかった人にも足を運んでもらえました。一人のアーティストが他の人をひきよせる、吸引力のすごさを感じます。
静岡だけでなく様々な土地に出向いたり、アーティストに来てもらうという僕のこうした行動は、空間だけでなく、面白いことに時間も移動できるんですね。どういうことかというと、以前一緒に仕事をしていたアパレル会社の同僚からもコラボの話を持ちかけてもらったんです。過去と今が繋がる面白さ、すべてが巡っている、ご縁や運命といったものを感じざるをえないですね。


でも、そもそもは、やっぱり自分が動いてみたことだと思うんです。まずはパルコでの期間限定ショップの経験があったから、仏生山でのショップ開催もできた。成功、失敗は関係ない、経験することが大切なんです。だって、失敗しても、次はそこをきちんとフォローすれば成功に繋がるわけでしょ。展示会のことも販売のことも、どちらのノウハウもできた。そして、他の人たちとコラボすることで、今までとは違った人たちの目を惹きつけることができる。それによって、quasiを取り巻く人たちの幅が広がる。ショップとしてのquasiも、僕の活動としてのブランド“quasi”も、今のこの感覚で進んで行けたらと思っています。

第1回「アートは足元から!素敵な場所へ誘う、五感で選ぶ私だけの一足」

https://machipo.jp/column/1

第2回「川根茶を世界へ!地域の特産品をアートとの融合で世界のブランドに」

https://machipo.jp/column/26

quasi

https://machipo.jp/location/2607

quasi オフィシャルサイト

http://quasi.jp/

営業時間
  • 営業時間
    12:00~20:00
  • 定休日
    水曜日
スポットタグ
この場所の情報
  • 420-0839
  • 静岡県 静岡市葵区鷹匠 1-14-1 MEVIUSビル1F 
駐車場に関する情報
なし。近隣の駐車場をご利用ください。
マップ