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2017年02月14日

食育インストラクターが教える「無駄なく、美味しく、健康的な食生活」を知って食生活改善 [ 農政課・食のまち推進室リポート # 05 ]

食事は毎日のことであり、自分自身の体を作るもの。何を食べるか・どう食べるかは非常に重要なことだとわかってはいても、実際のところ何をどう選べばいいのかわからないという人も多いのでは。そんな悩める食生活の疑問に答えてくれる講演会が、富士宮市フードバレー推進協議会の主催によって開かれました。ユーモアが散りばめられた楽しい雰囲気の中、すぐに実践できる食のヒントをたくさん教えてもらいましたよ。 [ 農政課・食のまち推進室リポート # 05 ]

スーパーマーケットの担当者が語る、具体的ですぐに役立つ食生活のヒントに興味津々。

講演のタイトルは「無駄なく、美味しく、健康的な食生活を!」。講師はマックスバリュ東海(株)の滝野泉氏。食育インストラクターの資格を持ち、県内各地で健康に関する講演を多数開催しています。

講演を運営する、食のまち推進室の深澤主査より全体あいさつ。
次いで、主催の富士宮市フードバレー推進協議会会長であり富士宮やきそば学会会長の渡邉さんから一言。


「講師の滝野さんはスーパーマーケットの現場を知る方。今日は身近で役に立つ話が聞けると思います」


いよいよ講演開始。正面に立った滝野さん、初めの言葉が「今からする話はつまらない話ではないですよ! すぐに使え内容が必ずあるので聞き逃さないように!」。満席の聞き手の心をグッとつかみます。

まずは現代の食事情について。以前と比べて「こしょく」化が進んでいるとのこと。

一人ひとりバラバラのメニューを食べる「個食」
家族不在で一人で食べる「孤食」
固定化したメニューばかり食べる「固食」
食欲不振で食べる量が少ない「小食」
パンや麺など粉の主食ばかりの「粉食」など。

思い当たる節が多くて反省。できるだけ、栄養の偏りや好き嫌いのない食事、家族や仲間がそろって協調性や団らんのある食卓をめざすこと。健康的な食生活への近道はそこにありそうです。

食生活の改善にはさまざまなポイント、方法がありますが、滝野さんが強調していたのは「減塩」。「適量とされる量に比べて、塩分を摂りすぎているケースが多い。味付けや保存性のために塩分を使いがち。減塩は、かなり意識的に考える必要があります」


◆滝野さんが教える健康のヒント1 減塩は意識的に

・味噌汁は、味噌を少なめに。だしを増やして風味アップ
・味付けは、しょうゆを少なめに。レモンやポン酢など柑橘系の酸味を活用

そうは言っても、慣れ親しんだ味を急に変えるのは物足りない。そう思った途端、心を読んだように「味覚の変化には6週間で慣れます。まずは味付けを変えてみて」。な、なるほど。やらない言い訳をするよりも、まずは6週間やってみないと。

スーパーの店頭で滝野さんが思うことは「野菜売場のごみ箱をなくしたい!」ということだそう。たとえばキャベツ。店頭に並ぶときには畑のものから平均12枚の葉を取ったうえで売っているそう。「キャベツは外側の葉ほど太陽を浴びていて栄養価が高いんです。汚れた葉や固い葉はすでにはずしてある。それなのに、売り場でさらに葉を取って捨てるなんて、もったいない! 今すぐやめて!」この情報には、へえ~そうなのかという納得の声があがりました。

◆滝野さんが教える健康のヒント2 捨てればゴミ、食べれば栄養

・アスパラガスの根元は捨てるな! 固い部分はすりおろし、味をつければドレッシングに
・人参の皮はむかずに使う! または皮も食材としてきんぴらなどに
・スイカで栄養が高いのは白い部分と皮! 白い部分は薄切りにして漬物に、皮は千切りにして炒め物に

アスパラガスの固い部分をすりおろすとは、目からうろこ。味付けを工夫すればさまざまなバリエーションのドレッシングになりそうです。ゴミも減るし、栄養も多くとれる。これは、マネしない手はありません。


食材についての理解を深めることも重要。消費者として、新鮮なもの、おいしいものを選ぶ力を身につける必要があります。

「魚を買うとき、天然物と養殖物があったらどちらを選びますか?」という問いには、参加者みんな「天然、いや、養殖?」と首をかしげる。天然=自然、養殖=人工的? うーん。
滝野さんの説明は、「一般的に、養殖物のほうが通年で脂がのり栄養が多い。いっぽう天然物は、旬を過ぎると脂がのらず栄養が減ります。栄養の面からは、養殖物を選んだほうがいいと思います」 

それから、私たちは野菜を加熱しすぎる傾向にあるとのこと。加熱することによって、減ってしまったり吸収されにくくなったりする栄養素もあるので注意したいですね。

◆滝野さんが教える健康のヒント3 魚は養殖物が通年で栄養あり

◆滝野さんが教える健康のヒント4 野菜の加熱しすぎは栄養面ではマイナス

・野菜は種に栄養が凝縮されている。そこから芽が出た状態のスプラウトは栄養面からみておすすめ。加熱しないで生で食べよう
・一例として、加熱調理が一般的だと思われている小松菜も栄養的には生食がおすすめ。ざく切りにして塩昆布と混ぜ、一晩タッパーで保存するとおいしく食べられる


こんな調子で、具体的な例を紹介しながら講演が進みました。ユーモアのある語り口は、聞いていて楽しく飽きません。本当にすぐに実践できるヒントばかり、メモを取りつつ笑いつつ、時間はあっという間に過ぎていきます。

日本では食品廃棄の問題が深刻。食べられるのに捨てる、いわゆる「食品ロス」は年間15兆円にのぼるといわれています。これを減らす取り組みは家庭でもできます。キャベツの葉、アスパラガスの根元、人参の皮。栄養があり美味しく活用でき、節約にもつながるのにこれを捨てるなんて実にもったいない。話を聞くうちに、「無駄なく、美味しく、健康的な食生活を!」という講演タイトルの重要性をひしひしと感じました。

講演の終わりには、「感心するだけじゃなくて、今日聞いたことを本当にやってくださいよ。やったかどうか、あとでアンケートで聞くから!」と念押し。うんうんとうなずく参加者たち。これを読んだあなたも、ぜひ実践してみてほしい。まずはアスパラガスの根元をすりおろしてみるところからスタートです!

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2月9日(2017年)開催
食のセミナー「無駄なく!美味しく!健康的な食生活を!」

主催/富士宮市フードバレー推進協議会

会場/富士宮駅前交流センター「きらら」

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