1. ホーム
  2. コラム
  3. 富士山湧水仕込みが自慢。【蒲貞蒲鉾店】は、練り物ひとすじの老舗店。
2017年03月08日

富士山湧水仕込みが自慢。【蒲貞蒲鉾店】は、練り物ひとすじの老舗店。

富士山本宮浅間大社からほど近い宮町商店街に店を構える「蒲貞蒲鉾店」は、現在で4代目という老舗店。かまぼこの贈答品や宴席用から、家庭用、気軽にパクパク食べ歩きまで。「町のかまぼこやさん」といった親しみやすい風情で、職人手作りの味を提供し続けている一軒だ。

宮町商店街を歩いていると、とある店先で、トレイに並ぶ数々の揚げ物類が目に飛び込んでくる。
ごぼう巻き、おこのみ揚げ、桜えび天。
煮物にしてもおいしそう、それよりこの場で出来たてを食べたくなるいい色合い。
ごぼう巻き1つだけでも、遠慮せず気軽に買えるのが、地元に根ざした小売店の嬉しいところだ。


揚げ物の一番人気、ごぼう巻。1本¥65

ショーケースのかまぼこ、はんぺん、揚げ物はすべて自家製。
機械による量産ではなく、店の奥にある作業場でひとつひとつ手作りしている。

現在の店主・神谷典秀さんは4代目。
明治40年の創業当初は鮮魚店として始まり、時代を経て、今はかまぼこ作りひとすじだ。
かつては結婚式や仏事の席でかまぼこを使うことが多く、ホテルや宴会場への卸が中心だったそう。
その需要は少なくなる傾向にあり、近年は個人客向けの販売にシフトしてきている。


「個人のお客さん向けに店頭売りを始めたのは比較的最近。
大人数の席で使う玉子の練り物も、
家庭で食べやすいよう小さめサイズでも作るようにしています」と神谷さん。


パック入りでおみやげに最適。桜えび、しらすがのった一口サイズのかまぼこ。

かまぼこの主な材料は、魚のすり身、でんぷん、水。
シンプルなだけに、使う魚の種類や水の質が、仕上がりを大きく左右する。
かまぼこの一番の特徴であり魅力といえば、その歯ごたえと弾力だ。
神谷さんいわく、「ゴムのような弾力があり、かつほどよく柔らかいのが理想」だそう。
それを実現するためにも、魚種と水は特に重要だ。

蒲貞で使う主な魚はミナミダラとスケトウダラ。
もっと多種類の魚を混ぜる作り方もあるが、蒲貞ではこの2種をメインにしている。
また、一般的にサバとイワシを主原料にすることが多い黒はんぺんだが、
蒲貞ではタラとイワシを使用。
そういった試行錯誤やこだわりによって、理想に近い弾力感や歯触りが生まれている。
また、水は「富士山湧水仕込み」が自慢。おいしい水が豊富に湧くこのエリアならではの強みだ。


おこのみ揚げ1枚¥160。練りこむキャベツやネギは直売所で仕入れるそう。

かまぼこの食べ方は、まずはもちろんそのままで。
「わさびと醤油をちょっとつけて、板わさが最高ですよ」。
ごぼう巻きなど揚げ物を温め直すときは、網であぶるかオーブンで焼くといいそう。
「電子レンジを使うと固くなるので注意してね」。


市内の祭りや催事に出店することも多く、屋外イベントならコンロを持って出動。
ちょうどこの日は、二日後に控えた祭りの出店準備ということで厨房ではおでんの仕込中。
自家製の練り物はもちろんたっぷり、ほかに大根や玉子も入れ3日間は味を染み込ませるそう。


こちらは富士宮らしさが詰まったアイディア商品、やきそばスティック。
やきそばの麺、キャベツ、生姜などを練りこんだ揚げかまぼこだ。
一口かじると、麺とかまぼこがバラバラになることも一体化しすぎることもない、まさに絶妙なバランス感。
串に刺したものをパクパク食べるもよし、サイコロ状に切って焼き直すのもよし。
神谷さんのおすすめ、マヨネーズ乗せも間違いないおいしさだ。

選び抜いた素材で、毎日手作りしているかまぼこ。
好きでよく食べている人も、そういえば最近食べていないという人も、
作り手の顔がすぐそこに見える蒲貞蒲鉾店で、種類さまざまな味を楽しんでみよう。

◆蒲貞蒲鉾店(かまていかまぼこてん)
TEL 0544-26-2814
富士宮市宮町9-2
9:00~18:00
水曜休

類似のコラム