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2017年03月30日

名水・湧玉池にちなんだ豆腐が看板商品。地下80メートルの湧水を使う【和田とうふや】

明治時代から4代続く「和田とうふや」。店頭に並ぶ数種類の豆腐のなかで、特に存在感があるのが、見るからにふっくらと盛り上がった「湧玉」。遠方から、これを目当てに買いに来るファンもいるそうだ。店主が、「もう本当にね、手間と時間がかかるけれどもおいしいですよ、これは」と話すイチオシの豆腐なのだ。

ひとくちごとに、大豆の味がよくわかる。何もつけずにそのまま食べるのが正解。

ケースに並んだ豆腐、油揚げ、がんもは、すべて奥の工房製。
仕込みの開始は午前4時。豆腐の消費が増える夏場は特に忙しい。

店主の和田真司さんは4代目。
このあたりはかつて宿場町であり、関西から商人が多く移り住んできた歴史があるそうだ。
「そのうちの一人が初代だと聞いています。
 豆腐屋は、比較的少ない道具で商売を始められるというのも理由だったみたいです」。
以来ずっと、この場所で豆腐を作り続けている。


豆腐づくりに欠かせないものといえば、たっぷりの水。
市内では富士山の湧水が豊富だが、良質な水を確保するためには苦労もある。
「うちでは地下80メートルくらいを掘って水をとっています。普通はそこまで掘りません。
地下30メートルくらいが多いかな。地中の溶岩が邪魔をするので掘るのが難しいんですよ。
でも深い場所の水は、地上の影響を受けにくい分きれいでおいしい。
それで、先代の時になんとかそこまで掘り進めました」。

富士山の地下水は軟水。余分なミネラルを含まないので素材の味をいかすといわれる。
つまり大豆の味がとくによく表れるということだ。
すべての商品で国産大豆を使っているが、「大豆の味がいちばん出ている」というのが看板商品の「湧玉」。
富士山本宮浅間大社の境内にある湧水であり、「平成の名水百選」に選ばれている「湧玉池」からの命名だ。


湧玉(600g) ¥306

特徴は、その柔らかさ。といってもフニャフニャしているのとは違う。
スプーンですくうと意外にしっかりしている、が、口に入れるとふわっとした感触。
そして、大豆の味というか豆乳の味というか、豆のふくよかな甘みがふわわ~と広がるのである。
これが大豆の味ということか!「まずは何もつけずに食べてみて」とのアドバイスだったが、
醤油をかけることも忘れて半丁ほどパクパク食べてしまった。

「湧玉」は手作業の工程が多い分時間がかかるそうだ。
絹豆腐を作るには1時間かかるが、湧玉は5時間。豆乳をニガリで固めるとき、通常よりも時間をかける。
型に入れる際、「木綿はいっぺんに入れてもいいけど湧玉は少しずつきれいにやらないとダメ」。
切り分ける作業は機械ではなく人の手で。
包装作業も、豆腐が柔らかく盛り上がっているので通常より時間がかかる。

固定のファンが多い「湧玉」だが、和田さんいわく
「まだ作り途中というか。今が絶対の正解というものでもないと思っています」。
お客さんの声を聞きながら、親しみやすく、手に取りやすく、
それでいて「和田とうふやらしい」豆腐作りを追求したい。そんな真摯な姿勢を感じた。


絹(500g) ¥203
木綿(500g) ¥224


手前から
生揚げ(2枚入り) ¥224
味付けがんも(小・5枚入り) ¥306
手揚げ(大判) ¥306


花形がんも(2枚入り) ¥329

味付きがんもは、富士宮・富士地域でよく食べられているもの。
砂糖やごまを混ぜた豆腐を揚げたもので、表面にじゅわっと染み出す甘みと香ばしさがたまらない。
花形は、直径10センチほどの大サイズで食べごたえあり。
「小サイズは機械で形を作っていますが、花形はひとつずつ手作り。
 大きく厚くふっくらしているので、こちらをおすすめします」だそうだ。

最近は枝豆の豆腐も人気。それまで大豆ひとすじだった和田さん、作り始めた当初は
実は積極的な気持ちではなかったそうなのだが、子どもや若い人が好んで買っていくのを見て
「もっと早く始めればよかった」と思うようになったとか。
「豆腐への入り口は広いほうがいいですから。これからも、お客さんがほしいもの、
使いやすいものを考えながらやっていきたいと思っています」

直営店のほか、富士宮市内のマックスバリュ、イオン、しずてつストアなどでも購入可能(一部店舗)。
また、直営店で買い物をすると袋詰めのおからをサービスしてくれる(おからのある時に限る)。

和田とうふや

TEL 0544-26-3022
富士宮市宝町6-8
8:00~18:00
日曜休
駐車場あり

関連URL

和田とうふやホームページ

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