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2017年03月30日

4つの酒蔵、4つの酒かすを甘酒で比較。味や香りの違いのほどは?

富士宮市には4つの酒蔵がある。蔵の数だけ酒があり、副産物である酒かすがあるということだ。近年、酒かすは栄養素を豊富に含みさまざまな効能が期待できると言われて注目度アップ。メジャーな食べ方といえば甘酒だが、使う酒かすによって味や口当たりはどのように違うのだろうか? 4つの甘酒を飲み比べてみました。

酒かすとは、日本酒の製造工程でできるもので、米や麹を混ぜ合わせて発酵させた「もろみ」をしぼった後に残るもの。
ばらばらほぐれた状態のものを「バラかす」、板状のものを「板かす」と呼んだりする。

富士宮市内にある4つの酒造で酒かすを購入し、同じ要領で甘酒を作ってみたのであります。
メイン写真の上から時計回りに
(1)富士錦酒造  1kg ¥432 (上柚野)
(2)牧野酒造   1kg ¥500 (下条)
(3)富士正酒造  1kg ¥540 (根原)
(4)富士高砂酒造 500g ¥280 (宝町)


袋を開けるとこんな感じ。色、厚み、柔らかさ、香りがそれぞれ違う。

甘酒を作るには、鍋にちぎった酒かすと水を入れて数時間おき、火にかけて、砂糖と塩を加える。
すりおろしたショウガやハチミツを加えてもよい。
今回は砂糖と塩のみでシンプルに仕上げて飲み比べ。
味の好みや感じ方には個人差があれど、試飲の感想を紹介します。


(1)富士錦酒造(上柚野)
アルコール的な香りはせず、ほのかに甘い柔らかい香りがする。
つぶつぶ感は多めで、口当たりはしっかり。
味には爽やかさがあり、冷やしたものを飲んでみたいと思った。
飲んでいるうちに甘みが増してくるように感じられた。


(2)牧野酒造(下条)
「お酒らしい」香りが強いように感じる。
(火にかけてあるため実際はアルコール分はほとんど飛んでいる)
甘みは強め、しつこい感じではないので飲みやすい。
乳製品のようなコク、クリーミーさを感じた。


(3)富士正酒造(根原)
香りは少なめ。
今回唯一のバラ状(板状ではない)だったことと関係があるのか、
米の粒が立っているというか、舌に明確につぶつぶを認識した。
全体的にはさらりとしており飲みやすい。米の甘さを感じた。


(4)富士高砂酒造(宝町)
ぱっと明るい、強い香り。フルーツのような華やかさを感じた。
つぶつぶ感は少なめ。つぶが細かくて均質な印象だ。
かといって濃度が薄いわけではない。しっかりとした濃さがある。
冷やすより、ホットで飲みたい。


どれが一番ということではなく、「蔵ごとにこんなにも味の違いがあるのか」という点が発見であった。
酒かすの味の違いは、使う酒米や水、純米酒か大吟醸かといった酒質の違いによる。また、今回は甘酒にして比べてみたが、焼いて砂糖をふる、かす汁、魚のかす漬けなど、食べ方・調理方法を変えれば味の印象も変わるだろう。

栄養面で見ると、含まれる主な栄養素は、
・たんぱく質、ビタミンB1・B2・B6、食物繊維、カルシウム など。

期待される効能は、
・高血圧の抑制、アレルギー症状の緩和、骨粗しょう症の予防、美肌効果 など。

どの食品でもそうであるように、たくさん食べれば健康になるとか美肌になるというハナシではない。
が、おいしいうえに身体にプラスになる部分が多いとなれば、食べて損はないわけで。

酒かすの価格は1kgあたり500円前後。1kgあれば甘酒が30~40杯作れる。
新酒が出る12月ごろから出始め、酒蔵によっては3月頃に売り切れてしまうことも。
各酒蔵で販売しているので、店頭で見かけたら即買いをおすすめする。

関連URL【4つの酒造と、蔵開きイベントの紹介】

富士高砂酒造の蔵開き記事(2017年1月)

https://machipo.jp/com/fujinomiya/column/22923

富士正酒造の蔵開き記事(2017年2月)

https://machipo.jp/com/fujinomiya/column/23348

牧野酒造の蔵開き記事(2017年2月)

https://machipo.jp/com/fujinomiya/column/23377

富士錦酒蔵の蔵開き記事(2017年3月)

https://machipo.jp/com/fujinomiya/column/24010

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