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2017年03月31日

海外からのお客様はこちらへ。観光を通じて世界と富士宮をつなぐ【 縁や(En-Ya)】

年々増加している海外からの観光客。世界に誇るフジヤマのお膝元・富士宮市も例外ではない。観光客に富士宮の良いところを知ってもらい、ここならではの体験をしてほしい。そんな思いで運営されているインバウンド観光案内所が、富士山本宮浅間大社と富士山世界遺産センター(仮称・2017年中に完成予定)の間にある。地元作家の作品展示、インバウント対応のワークショップ、外国語対応のエコツアーの発信など、富士宮の魅力を感じられる仕掛けに注目だ。

Hello, Welcome to FUJINOMIYA ! 新たなスタイルの案内所がOPEN.

インフォメーションを意味する「i」のマーク、看板には「Come in!」「We're OPEN」の文字。
いったい何の店? 
中に入ると作務衣姿のスタッフが笑顔で出迎えてくれた。
ここ「縁や」は、主に外国人観光客を対象に観光情報を発信しているインフォメーションセンターだ。

◆縁や(En-Ya)
TEL 0544-66-9029
富士宮市宮町4-5
10:00~16:30
日曜・水曜休み
駐車場なし

縁や Facebook

経営元/一般社団法人エコロジック


一般的な観光案内所と違うのは、アートギャラリーを兼ねている点。
造りつけの棚に、うつわ、和紙、竹細工などの作品が並んでいる。
いずれも富士宮の素材を使っていたり富士宮在住の作家作品だったり地元に縁の深い品ばかり。
期間限定の展示ではなく、常時販売している。


スタッフの安藤さんいわく「おちょこも、竹細工も、すべて富士宮の作家さんのもの。
おちょこは逆さに置くと富士山の姿になります。
富士宮で作られている和紙もあって、周辺の小学校では生徒が自分で紙をすいて卒業証書を作っています」

海外の方にとって「なんとなく日本っぽいイメージ」というだけではない、
富士宮ならではのストーリーがこもったメイド・イン・フジノミヤのおみやげというわけだ。
もちろん日本人観光客も購入できる。市内の人が、海外の方への贈り物にするケースもあるそう。

店頭では、富士宮市柚野(ゆの)地区にある「ゆのさや農園」の野菜も販売(3月のみ休み)。
農薬・化学肥料を使わずに育てたもので、一般には手に入りにくい品種のものが並ぶこともある。


縁やは富士宮の市街地にある。
安藤さんは富士宮市出身ではないが、街中に店を構え、商店街の店主たちと顔を合わせる機会を増やすことで、
地元の人と同じ目線で富士宮のことを考え、発信していくんだという気持ちを強くしているそう。


「商店街には老舗や名店があり優れた技術があります。
でも、店主たちはそのことに気付いていなかったりする。
だから私が橋渡し役としてその技術を観光客に伝えたいんです。
海外のお客さんが喜ぶプログラムの可能性がいろいろあるんですよ」

その一例が、商店街の人たちとつくりあげる体験ツアー(エコツアー)開発。
文具の蔵 Rihei(文房具店)」で敷地内にある蔵を開放して書道をしたり、
「藤太郎本店(和菓子店)」で生菓子を作ったり、「大丸(呉服店)」で着物の着付けを習ったり。
共通点は、街中でちょっと時間があるときに体験できること、店が普段から持っている技術を体験できること。
「和菓子作りや着付けは言葉が通じなくてもいい。
見ただけで純粋に『スゴイ!』となりおもしろさが伝わるので、海外観光客の体験としてぴったりだと思っています」


写真は、街中ツアーを体験したイランからの訪問者。

* * * *
外国人観光客に向けた英語版のまちなかマップも制作した。
商店街の各店に設置しており、地域の価値を海外の人たちに気づいてもらい、
地域の人たちと世界をつなげるきっかけとしたいとのこと。その窓口を縁やが目指している。

◆富士宮まちなかマップ(Fujinomiya Wecome Map) ※PDFをダウンロードする

海外向けの観光案内資格を取得する準備も進行中。
これらが整えば、外国人観光客への情報発信やエコツアー販売により注力していく予定だ。
「秋からは、海外からの観光客向けに、本格的にマウンテンバイクツアーや文化体験ツアーを販売していきます。
地元ならではのツアー、地元のアート販売、情報発信を通じて、世界の方々に富士山、富士宮の価値を伝えていきたいですね」


ところで安藤さん、もともと富士宮出身ではないということですが、これまではどちらに?
「アフリカのガボン共和国です。大学の研究員としてゴリラの生態調査をしていました」

えっ、アフリカ? ゴリラ!? 何でまた富士宮に?

「ゴリラの研究をしながらエコツーリズム活動をしていたんです。
自然環境や文化を観光の対象としつつ、その環境や文化を守ろうという取り組みですね。
そのとき、世界各国でエコツーリズム開発を支援する富士宮の団体、エコロジックの代表と現地で出会ったんです。
彼から、富士宮で『縁や』をオープンするのでサポートしてほしいと言われて。
富士山の近くなら住んでもいいなあと思っていたので、こちらに来ました」

国や文化を超えてつながる縁、それを体現している「縁や」。
富士宮を訪れる観光客(外国人も、もちろん日本人も!)にとって、頼れるスポットがひとつ増えた。

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