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2019年11月12日

生落花生の次にくる!? イチ推しは富士宮産ぎんなん。【富士宮の特産品/農産物/銀杏ぎんなん】

串焼き、かき揚げ、茶碗蒸し。寒さが増してくると、ぎんなんの美味しさが恋しくなります。みなさんは富士宮が「銀杏栽培」に力を入れる地域であるのをご存知でしょうか。現在富士宮市内では約10軒の銀杏農家が組合に加入し、杉田エリアなどで「銀杏栽培」が盛んです。また栽培される銀杏は主に3品種で、金兵衛(中粒早生)、久寿(大粒中生)、藤九郎(大粒晩生)をつくっているそうです。今回は組合員でもある富士宮市外神の銀杏農家・佐野さんを訪ね収穫等の様子を見せてもらいました。 (*ぎんなんはイチョウの実:殻入り種子。漢字の「銀杏」はややこしく「イチョウ」とも「ギンナン」とも読みます)

もちもちした食感、ゆたかな滋味、ぎんなんは大人の味。栄養価の高い食材。

佐野さんは外神の銀杏農家で約110本のイチョウを保有し、金兵衛・久寿・藤九郎の3品種を栽培します。
収穫作業は例年9月末から年末頃まで行うそうですが、令和元年の今年は天候等の問題で出来がとても悪く、11月初めに収穫を終了。収穫総量も500キロほどと通常の4分の1でした。
栽培されていたイチョウの樹は、神社や公園で見かける背の高い木とまるで違い。実を取りやすいように高さを抑え、扇子型に広がるように育てられていました。


ぎんなん3品種(左から)金兵衞(キンベイ)、久寿(キュウジュ)、藤九郎(トウクロウ)。殻の形状や大きさで品種が分かると言いますが、素人目には同じに見えます。金兵衛はさくさくした食感で、1月頃まで実が木から落ちない。久寿はもちもちと粘り気があり、実は木から落ちる。藤九郎は久寿と比べて食感やわらかサイズが大きく実は落ちるそうです。

富士宮産ぎんなん品種。「きゅーじゅう(九十)、とぉ(十)、きん(金)」と数え唄風に覚えよう。


もう20年以上、富士宮市外神で銀杏を栽培している佐野貞夫さん。もともとは牛を飼っていたそうです。銀杏の収穫は体力的にもキツイ作業と教えてくれました。


佐野さんのイチョウ畑。ここには約50本のイチョウを植えてます。前より栽培本数を減らし、現在の木の間隔は7m(以前は5m四方に1本)といいます。


富士宮は小規模の銀杏農家が多く、佐野さんも収穫作業に機械を使いません。ぎんなんの実はハシゴを登って、手摘みや枝を揺らし落として採るそうです。


イチョウは接ぎ木(つぎき)をして育てます。接ぎ木をすると約6年で実がつきだし、通常20年かかる収穫を約10年に短縮できるそうです。接ぎ木は違う品種でも行えます、数品種を接ぐことも可能。


接ぎ木(つぎき)の簡単解説。3つの枝芽(A・B・C)が、やがて3本の太い枝に育つそうです。イチョウは雄雌異株のため雌木しか結実しません。受粉には雄木が必要なので、1本の台木に雄+雌を接ぎ木する場合もあります。


接ぎ木によって扇子型に成長したイチョウ。不思議なことに接ぎ木にした3つの枝芽(A・B・C)は、おおきくミツマタに分かれ太くなっています。


果肉等を取り除く(1)。網カゴ部いっぱいに実を入れます。電動の羽歯が回転しながら果肉等をつぶし、殻入り種子と分けます。強烈な臭いはご存知の通り。


果肉等を取り除く(2)。使うたびに機械はキレイに洗い次に備えます。取り除いた果肉や汁の再利用は難しく畑にまくそうです。


殻にした実はさらに洗浄。塩水で漬け洗いすると、悪い実が浮くので取り除きます。よく洗ったら天日に干します、富士宮産ぎんなんの売りはこの「天日干し」です。


ぎんなんの品質を左右する乾燥作業。日陰に移して調整。殻の中の種子の水分量が大事で、干し過ぎても駄目。干し方が悪いとシミ汚れも出るそうです。個体差があって難しい。


棚ケースをゆすり、乾燥具合を見極めます。経験値が物をいう作業。うまく乾くと殻の表面がサラっとなって、ぎんなんの転がり方が変わるそうです。


乾燥後、袋詰めした富士宮産ぎんなん「富士山いちょう娘ぎんなん(静岡県産)」。300g入と100g入をJA富士宮「う宮〜な」(外神123)等で販売。JA富士宮に出荷できるのは実がLサイズ以上(L、LL、3L)。

関連URL

JA富士宮・う宮〜な(外神123) 銀杏の販売など

富士宮市役所(4階)農業政策課・食のまち推進室

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