1. ホーム
  2. コラム
  3. 神輿をかつぎ、神田川をさかのぼれ! 富士山御神火(ごじんか)まつり
2016年11月01日

神輿をかつぎ、神田川をさかのぼれ! 富士山御神火(ごじんか)まつり

毎年8月、富士宮市で開催される一大イベント「御神火まつり」。2016年で37回を数えるこの祭りは市民のアイディアから生まれたもので、見どころは「神輿に火を灯す」「8つの神輿が街中を練り歩く」、そして「神輿が神田川に入って流れをさかのぼる」。夕方から夜にかけて、浅間大社界隈は市民と炎の熱気に包まれた。

日が暮れてからが本番。神輿の競り合い、熱気、対抗心に、観客もヒートアップ必至。

御神火まつりでは計8台の神輿が富士宮市街を練り歩く。
主なルートは、富士山本宮浅間大社前。
すぐわきには、神田川の清流が流れている。

夜になると、この流れにさからうように川昇りが行われる。
神輿をかついだ各隊が順に川に入り、声を合わせながら川の中を歩くのだ。
ここが、このまつりの一番の見せ場である。


日中は8つの隊ごとに分かれ、着替えや神輿の準備タイム。
背中に模様を染め抜いたハッピをまとい、まつりの開始に向けて待機中。
詰所になっている公民館をのぞくと、すでにテンション高め。


まつりが始まるまでの時間を門前でぶらぶら・・・とくれば、
小腹を満たすのはもちろん富士宮やきそば。
お宮横丁でひと休み。できたてがおいしい。


いよいよまつりの始まり。
浅間大社に8隊すべてが集まって神事が行われる。
お祓いをし、まつりの重要なキーワードである「御神火」を授与。見物客も増えてくる。

17時ごろ、浅間大社の参道に消防職員が集まって
なにやらホースの点検を行っていた。
ホースから噴き出す水の量や角度を調整している。
何かと思えば、これは、このあと始まる「神輿洗い」の準備なのだった。

神輿を洗う・・・・・・って、
いったいどうやって?


こうやって。

道の両脇から散水している中を、神輿を担いで通るのである。
足元が濡れようが顔や体が濡れようが、
神輿の担ぎ手も上に乗った人もなんだか誇らしげ。
沿道でカメラを構える見物客は、カメラと体が濡れないよう守りつつ
でもいい写真を撮りたくて身を乗り出しつつ。

威勢のいい声をあげる担ぎ手や、神輿の上で両手を振る乗り手を見ていると、
だんだんとまつりの熱気に飲まれてくる。
はじめこそ、市民でない私は部外者だからなあという遠慮の気持ちがあったものの、
担ぎ手のかっこよさ、乗り手の勇ましさに、憧れのような想いすら湧いてくる。
これがまつりのエネルギーというものか・・・!

参道を通った神輿には、一台ずつ、たいまつによって御神火が授けられる。
そして、大社の前の通りを東西に分かれて練り歩いていく。

通りでは見物客がお待ちかね。太鼓の演奏が商店街を盛り立てる。
水を掛けようと待ち構える子どもたちの姿も多い。
水道の蛇口に直結したホースや、水がなみなみ入ったバケツを持ち、
神輿の一団をめがけて水を掛けるのである。
こんなに濡れる祭りだとは聞いてないよ!とびっくりだ。


それにしても、神輿の担ぎ手も、沿道の市民も、
それに商店街の皆さんも、一丸でまつりを楽しんでいる感じ。
アツい中にも、なんだかほのぼのとしたムードがあっていいものだ。


日も暮れて、東西に散らばっていた神輿がまた浅間大社前に戻ってくる。
交差点では8つの神輿による総練り。
夜空に炎がきらめき、太鼓の音がひびき、掛け声が飛び交う。
街じゅうが一体になるような熱気のうねりが、すごい!


さあいよいよハイライト、神田川の川昇りである。

川を真横から見下ろせる場所には有料の桟敷席が設けられ大盛況。
無料で見られる橋の上や川原も大にぎわい。

ここまで数時間にわたって神輿を追いかけてきたからか、
「神輿を一目みたい!」「もっとまつりに関わりたい!」
「川昇りの興奮を共有したい」という気持ちが高まってきた。


最初の神輿が川に入り、そして流れの中を進んできたときには、
何やらアツいものがこみ上げてきた。
富士宮市職員らによるチーム「富士宮市職員組合」をはじめ、
各組の神輿が登場するたびに市民が歓声をあげていたのが印象的。

地元色の強いまつりだが、飛び入りの観光客が見ても
その熱気や盛り上がりを体験するのは楽しい。

この先も、富士山や水や神輿を守りつつ、
また市民の手によって少しずつ形を変えつつ、
地域のまつりとして長く続いていってほしいと思う。

第37回 富士山御神火(ごじんか)まつり

8月6日(土)  2016年/富士宮市浅間大社、市内目抜き通り

富士宮市ホームページ

http://www.city.fujinomiya.shizuoka.jp/kankou/llti2b00000019ab.html

関連記事/富士宮市滞在中の台湾人が見た「御神火まつり」

https://machipo.jp/com/fujinomiya/column/20817

類似のコラム